2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(3)

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(3) {『緑の目の少女』の中で、ルパンはオーレリーに 自らの正体を明かすことはない。穢れない彼女を 徹底して守り通そうというその姿勢もまた彼らし く、数あるシリーズ中の恋の中でも、私はこのラ ブ…

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(2)

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(2) {パリの街角で出会った、エメラルドのように 澄んだ目をした美少女。オーレリーを巡って 起る事件の数々は彼女に殺人犯の疑いがかけ られるという衝撃的な展開からスタートする} 『ネオカル日和』…

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(1)

モーリス・ルブラン『緑の目の少女』(ポプラ文庫)(1) {そういう仲間は他にもいたらしく、怪盗ルパンの全集は 本棚に全部がそろっていることはまずなく『怪盗紳士』 や『奇巌城』などは、当時振られていた巻数のナンバー が若かったせいか、毎日のよう…

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(4)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(4) {――これ以上ない、理想的な「壁」。そう感じた瞬 間、私はまだ自分の中の「壁」恐怖が死んでいなか ったことを知る。この執着そのものが、私が幼い頃 ポーに受けた呪いと祝福を意味している。私の骨に …

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(3)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(3) {怖いのはたぶん壁の下の死体ではなく、今か ら自分が壁の中に何かを埋めること。それを やってしまうかもしれない、ということの方 だと、最初に気づいたのはいつだったろうか} 『ネオカル日和』〈著…

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(2)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(2) {主人公が、妻を殺し、その死体を隠す。 そのシーンを読んだ時、戦慄が走った。 思わず、自分の家の頼りない壁を見た。} 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(10) 《2 おおむね本と映画の宝箱》から…

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(1)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫) {病院の廊下の冷たい壁に頬を寄せる。いけないこと をしているような、後ろめたい遊びのように思った。 あまりの心地よさに目を閉じて、しばらくずっとそ うしていた。恐怖と快楽は紙一重だと初めて知った} …

アガサ・クリスティー『アクロイド殺し』(ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティー『アクロイド殺し』(ハヤカワ文庫) {医師シェバードの手記の形で綴られる、あの殺人事件。 不可能であると思われたそのトリックが明かされた時、 あまりの驚きに本を落とし、その場で立ち上がった} 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深…

好きなミステリ映画『幻影師アイゼンハイム』

好きなミステリ映画『幻影師アイゼンハイム』 {物語は、彼と幼馴染のソフィー、愛し合う二人が 引き裂かれる悲しみを、全編通して描いていく。 そのせいか、画面全体が、悲恋を象徴するような 暗い色彩で覆われている} 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(…

『春のめざめ』(劇団四季)(下)

『春のめざめ』(劇団四季)(下) {私はもう三十代だが、二十代のうちにこの舞台 が観られてよかった。忘れかけていた、けれど、 まだ生々しく熱い傷跡に触れられたような痛み が疼き、自分の中の「子供」と「思春期」がま だ残っていたことを否応なく思い…

『春のめざめ』(劇団四季)(上)

『春のめざめ』(劇団四季)(上) {学校の授業で行われる、黒板に図を描き、堅い 言葉で先生が語る「性教育」にちっともリアリ ティーが感じられなかった経験は、私以外にも 多くの人たちに共有されているものだと思う} 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深…

『オペラ座の怪人』(劇団四季)

『オペラ座の怪人』(劇団四季) {あのキス。息を呑むほどの静けさの中にふっと現れた 奇蹟のように美しい瞬間は、もちろん、そこに至るま での歌、舞台、美術、衣装、様々なものに導かれた結 果だろう。あの場でなければ実現しない} 『ネオカル日和』〈著…

『狼少女』(監督・深川栄洋)

『狼少女』(監督・深川栄洋) {彼らはただお互いの名前を呼び合うだけ。 懸命に走りながら、顔を真っ赤にして。 あきらくん。 てづかさん。 } 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(3) 《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇言葉を奪う、彼らの「秘密」 『…

何人もの“私”の「銀河鉄道999」

何人もの“私”の「銀河鉄道999」 {時間のずれた二つの999号が、交差する 『メーテルの旅』の中で、レドリルをつれ たもう一人のメーテルが、別れ際、鉄郎と 一人の自分を振り返りながら、「悲しく長 い旅よ……」と涙を流すシーンがある} 『ネオカル日…

「銀河鉄道999」のメーテル

「銀河鉄道999」のメーテル {私は落胆しながら、彼との別れを考える } 『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(1) 《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇・オマージュのためのショートストーリー&エッセイ 「銀河鉄道999」松本零士原作 「銀河鉄道99…

日本人は声の重要性を知っていた

日本人は声の重要性を知っていた {僧侶の良しあしも声で決まります。「一声・ニ骨相」 僧侶の読経のありがたみは、まず声のよさであるとい う意味です。次に容貌である、と。民衆の本音の部分 と言えるでしょう。多くの民衆信徒にとって、僧侶の 悟りや教養…

トイレで歌うと上手に聞こえるって、本当?

トイレで歌うと上手に聞こえるって、本当? {播州赤穂地方のことわざにこうあります。「黒豆の汁 を飲むと声がよくなる」特に科学的な根拠があるとは 思えません。声帯が筋肉である以上、栄養素でいうな らタンパク質、ビタミンB群、ビタミンEなどが効果 …