2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

午後九時には寝る。しかしベッドには入らない。

午後九時には寝る。しかしベッドには入らない。 【医学的にいうと、そもそも昼行型のサルである人 間の細胞は、深夜の時間帯に形成されるらしい。 したがってその深夜に睡眠をとっていない人は、 細胞の代謝ができず老化の一途をたどるのである】 浅田次郎著…

私は典型的な早寝早起きの「昼型人間」である

私は典型的な早寝早起きの「昼型人間」である 【夏ならば午前五時、真冬でも六時三十分、つ まり日の出と同時に起床する。当然、家では 一番の早起きであるから、まずキッチンに行 ってコソコソとコーヒーを淹れる。そして顔 を洗い、歯を磨き、マグカップを…

特別でない人間が特別に扱われることに罪悪を感ずる

特別でない人間が特別に扱われることに罪悪を感ずる 【すぐれた芸術は才能によって成るのではな い。すぐれた芸術を成し遂げた凡俗を人は 才能と呼ぶのである。そして芸術は本来自 分とどこも変わらぬすべての凡俗のために のみ価値がある、普通の娯楽の異名…

四十をいくつも過ぎてから「先生」と呼ばれるようになった

四十をいくつも過ぎてから「先生」と呼ばれるようになった 【自分の書いた小説がようやく活字になったくらい では、まだ「先生」にはほど遠い。文学新人賞を 受け、二冊や三冊の著作を世に送り出してもまだ まだ、その間に挫折する多くの同輩たちの累々た る…

閉店セール中はしばしば店に出てスーツのお見立てをした

閉店セール中はしばしば店に出てスーツのお見立てをした 【店を閉めるには潮時であろうと思った。ア パレル業界人としての名誉のために言って おくと、小説がいくらか売れるようになっ たから引退したわけではない。何よりもま ず、お客様をより美しく装うと…

最後の店は十七年間も続き、長寿を全うした

最後の店は十七年間も続き、長寿を全うした 【顧客のきまったブティックは長続きし ない。盛り場の路面店かターミナルの テナントでもない限りすべての店は同 じ運命をたどる。つまり顧客と一緒に 店の品揃えも齢をとっていくのである】 浅田次郎著『ま、い…

作家になってからもしばらくブティックを経営していた

作家になってからもしばらくブティックを経営していた 【街を歩いていても視線は自然にブティックのショ ウ・ウインドウに向けられている。気に入ったデ ィスプレイの前で立ち止まったりすると同行の編 集者は「プレゼントですか?」などと怪しむのだ がべつ…

除隊したあと、まっさきに傘を買いに行った記憶がある

除隊したあと、まっさきに傘を買いに行った記憶がある 【やがて使い捨てのビニール傘が登場した。発 売当初から「使い捨て」という触れ込みでは あったが当初の五百円という価格は使い捨て るにはもったいなかった。ことに私はセコい ので、いまだかって使い…

道路が舗装されて、水溜りやぬかるみがなくなった

道路が舗装されて、水溜りやぬかるみがなくなった 【今日と同じナイロン素材の雨傘が普及し始めたのは、 中学に入学したころであったろうか。私の中学一年 といえば東京オリンピックの年、ともかくあの国家 的行事をしおに、街の佇まいから雨傘まで変わった…

雨降りが嫌いではない、読み書きするには雨の日がよい

雨降りが嫌いではない、読み書きするには雨の日がよい 【私が子供の時分には、まだ町中で番傘なるも のを見かけたものである。番傘と言っても今 の若い人は知らぬだろうが、竹の軸に油紙を 張った古来の傘のことである。子供の手には 太くて重くて、はなはだ…

今の若者たちはあの贅沢な閑暇を知らないであろう

今の若者たちはあの贅沢な閑暇を知らないであろう 【幸福は自由の異名であるとする私の定義から すれば、いっけん自由のようでありながら利 器に管理されている現代人の生活は不自由で あり幸福でないということになる。社会人と しての普遍的資格を失うまい…

古本屋の店頭には三冊百円の文庫本が溢れていた

古本屋の店頭には三冊百円の文庫本が溢れていた 【パソコンや携帯電話を通じて、人生の要諦に はほとんど不要のコミュニケーションに忙殺 され、テレビやラジオの番組に貴重な時間を 費消し、冷蔵庫の中味を気にし、洗濯機や電 子レンジのご機嫌を窺い、要す…