2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

七〇年代のヒッピー時代は「物欲」がなかった

七〇年代のヒッピー時代は「物欲」がなかった {昨今、英国はアメリカのようになってしまった。移民 でひきしめ生存競争は激しく、みんな、隙あらば他人 の物を盗むという社会になり果ててしまった。七〇年 代のヒッピー時代、あんなに、みんな汚い格好をし…

ブロンクスの夜道で広子さんはひったくりに遭った

ブロンクスの夜道で広子さんはひったくりに遭った {大声で助けを求め、給料の入ったバッグを 必死で守ろうとしたが、相手は殴る蹴るを 繰り返し、バッグを離さなければ、殺され ると恐怖を覚えた彼女はバッグを離した} 高尾慶子著『外国の男と結婚した日本…

「ベニハナ」には、GIと渡米した日本女性が多く働いていた

「ベニハナ」には、GIと渡米した日本女性が多く働いていた {元GIの日本人妻たちは、広子さんの母親くら いの年だった。貧乏で日本を出てアメリカでも 敗戦国の戦争花嫁で苦労した彼女たちは、豊か になった日本から来た若い日本人をいじめた} 高尾慶子…

私とアーニーは、ニューヨークで知り合ったの

私とアーニーは、ニューヨークで知り合ったの {彼女も誰かと話をしたかったのだ。彼女は 当時二十七歳、アーニーが二十八歳だった。 私は、息子を失って一年目、三十二歳にな っていた} 高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(19) ◇日本嫌い…

夫は、広子さんのことをミステリアスと言った

夫は、広子さんのことをミステリアスと言った {私の夫は、インド音楽なんかに興味のある変 わった英国人だったが、舞台以外でインドシ ャツやコスチュームを着る人ではなく、普段 は、冬はセーター、ジーンズにデザートブー ツ、そして、普通のジャッケット…

そのしぐさはとてもエレガントだった

そのしぐさはとてもエレガントだった {ポケットからブリキの缶を取り出すと、その中か ら葉タバコをつまんで、巻たばこ用の紙に包んで 器用にくるくる巻いて端を舌でちょっと濡らして 細いシガレットをつくると、小さな口にくわえた} 高尾慶子著『外国の男…

アーニーは、私の夫にシタールを弾いてくれないかと

アーニーは、私の夫にシタールを弾いてくれないかと {ホント、変わった人だった。その女性はドアの 中へ入って来て、私に微笑みもせず挨拶もしな かった。いきなり入って来て私の許可も得ず藤 の椅子に座った。どういう顔の女性かというと、 私は彼女の顔に…

ケンジントン・ヒルトン「ひろこ」で本物のすき焼を

ケンジントン・ヒルトン「ひろこ」で本物のすき焼を {結婚してからEMIのレコードプロデューサーがホラン ド・パークに住んでいたので、日本に住んでいたアメリ カ人の歌手ヘレン・メリルが来英して、プロデューサー のデニス・プレストンと彼の妻、ヘレ…

広子さんはソーホー「Japanese Steak House」での同僚

広子さんはソーホー「Japanese Steak House」での同僚 {その鉄板焼の店は、オーナーがユダヤ人で、 店長がギリシャ人、店の名前は「Japanese」 と付いているのに、日本人はウェイトレス だけで、鉄板焼は客席の鉄板の上でウェイ トレスが焼くので、いわば素…

結局、ナビルは母国で死ねたのよ

結局、ナビルは母国で死ねたのよ {もし、ナビルが一人でウィーンから英国へ亡命 していたのであれば、多くの亡命者がそうであ るように(ユダヤ人は別)ロンドン市内のバス の運転手か、地下鉄の改札で働く職員ぐらいし か仕事はなかったのでないか} 高尾…

同情が愛に変わり真の愛情が生まれ、本物の夫婦に

同情が愛に変わり真の愛情が生まれ、本物の夫婦に {もし、あのとき、ナビルが明子さんに会っていな ければ、当時の英国は労働党政権だったから、英 国へ亡命できただろう。でもナビルは、それまで 考えたこともない国、日本へ行くことになった} 高尾慶子著…

エジプト人のほとんどがまったく西洋人にみえる

エジプト人のほとんどがまったく西洋人にみえる {そんなにもアメリカに肩入れし、アメリカと仲良 くしていたムバラクなのに、そのアメリカの呼び 掛けで、辞任に追い込まれたとは皮肉なことだ} 高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(11) ◇…

移民で、いま英国は誰の国かわからなくなってしまった

移民で、いま英国は誰の国かわからなくなってしまった {イスラム国家は植民地時代が終わると自治統治する ことが許されて、西洋的なものを排除する気運にな り本来のイスラム文明を保つ社会や国家に戻ったも のの、それはイスラム特有の男が女を支配する、…

エジプトはキリスト教徒も多数いてトルコに似ている

エジプトはキリスト教徒も多数いてトルコに似ている {今でこそ石油利権(エジプトは別)で得をしている奴 は、それこそ贅沢三昧でそれ以外の一般の国民は西洋 諸国に比べて貧しいというイメージがあるが、本来は 西洋より、ずーと早くから文明を築いた国々…

日本で成功しても、貧しいエジプトへ帰って行く

日本で成功しても、貧しいエジプトへ帰って行く {ナビルの生活の変化、向上に驚いている私に、 彼は私をもっと驚かせた。 「三ヶ月後に日本を引き揚げてエジプトへ帰 ります」 「えっ、エジプトへ帰れるの?」} 高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女た…

日本で成功したナビルと再会した私

日本で成功したナビルと再会した私 {私と夫が十年の結婚に終止符を打ち、夫は元夫となり 英国へ去り、私が京都でホステスになり夜働き、昼は 英語を教えるという生活を続けていたが、ついに再び、 英国へ戻ることを決めた一九八七年の秋、友人と入っ た神戸…

ナビルは、よく京都の私たちの住まいに訪ねて来た

ナビルは、よく京都の私たちの住まいに訪ねて来た {エジフトでは、カイロ大学を優秀な成績で卒 業してモスコワへ送られたような人だから、 モスコワを追われ、祖国へ帰れぬ亡命者であ っても、大阪の英語学校に一介の教師生活は やはり、フラストレーション…

ナセル政権でエリートの座が保証されていたナビル

ナセル政権でエリートの座が保証されていたナビル {彼はモスコワからチェコスロヴァキアに行き、 そこで数ヵ月過ごし、次にオーストリアのウ ィーンへ行き、これからどのように生きてい こうかと思案していたとき、日本からピアノ の勉強に来ていた明子さん…