エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(1)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫

{病院の廊下の冷たい壁に頬を寄せる。いけないこと
 をしているような、後ろめたい遊びのように思った。
 あまりの心地よさに目を閉じて、しばらくずっとそ
 うしていた。恐怖と快楽は紙一重だと初めて知った}
『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(9)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇骨に埋められた『黒猫』

幼い頃、私は「壁」が怖かった。

◆◇◆続々・立ち読み失礼◆◇◆

☆佐高 信『原発文化人50人斬り』毎日新聞社☆(53)

▼△第3章 東京電力の歴史と傲慢△▼ (19)
原子力推進に豹変した木川田(その2)

●お役所仕事で「豊富で低廉な電力の供給」ができなくなった時、

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(42)

▼△第7章 大停電が来る(12)△▼
・情報公開どこまで(その1)

●いちいち外に報告していたら原発が信頼されなくなる、と

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(9)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇骨に埋められた『黒猫』

幼い頃、私は「壁」が怖かった。

《「 ・黒猫 (集英社文庫) 黒猫 (集英社文庫) 小学校の頃、放課後。他のクラスメートがす べて下校したことを確認して、そっと廊下に 出る。 誰もいない廊下は、白い壁がずっと向こうま で続いている。その壁を、指でそって押して、 撫でる。 あるいは夏の日、祖母が入院し、そのお見舞 いに行った帰り。 病院の廊下の冷たい壁に頬を寄せる。いけな いことをしているような、後ろめたい遊びの ように思った。 あまりの心地よさに目を閉じて、しばらくず っとそうしていた。恐怖と快楽は紙一重だと 初めて知った。 幼い頃、私は「壁」が怖かった。 ただそれは決して嫌悪ではなく、目を逸らし たいけれど、それと同じくらい強い気持ちで 惹かれてしまう、というあの感じだ。 「壁」恐怖の原因は、わかっていた。ポーの 『黒猫』だ。 小学校ニ、三年の頃だったと思う。 当時、私は古い平屋に両親と住んでいた。一 人きり、夕方から夜に差しかか途中の、暗く 狭い部屋で読んだのが『黒猫』だった。 」》 (つづく) (Y194-81) ・エドガー・アラン・ポー肖像 ◇「ホイットマンダゲレオタイプ」と呼ばれるもの。 1848年11月に撮影。ホイットマン夫人に与えるために 撮影したもので、夫人が所持していた。 ◆Wikipedia:エドガー・アラン・ポー ◎幼い頃、私は「屋根」が怖かった。厳密に 言えば、「屋根」の上に登るのが――。青森 県津軽に住んでいたころ。切り妻屋根の二階 建て小学校の屋根に登って、ひさしまで下り てきて、地面にいる人に向かって、呼びかけ る遊びがあった。私は、仲間から、どんなに バカにされても、それが出来なかった。 戦前、東京浅草で未就学時のころ。親にデパ ートに連れていってもらって、屋上の遊戯場 で遊ぶのですが、怖かったのが、屋上の外壁 の端へ行くことだった。そこへ行くと、突然、 屋上の手すりが無くなって、自分が地面へ吸 い込まれていくイメージが浮かんでくるので した。 大人になって、アルフレッド・ヒッチコック の『めまい』を観て、高所恐怖症なるものを 知ったのでした。
オーディオブック サンプル 黒猫
(panrolling さんが 2009/08/20 にアップロード) 【"詳細はこちら↓ http://www.digigi.jp/bin/showprod?a=66099&c=2048020300005 エドガー・アラン・ポーの短編怪奇小説。可愛がっていた黒猫を 発作的に殺してしまったことから、主人公の男は狂気の世界へと 落ちていく。猫の呪いと破滅していく男の様子が不気味な雰囲気 と迫力を持って描かれている。黒猫が不吉の象徴となったポーの 歴史的な傑作。オーディオブックで恐怖を感じてください! ※本作品は発表時の未熟な時代背景から、今日の社会では一般的 でなく、不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。 しかし作品のオリジナル性を最大限に尊重し、なるべく当時のま ま忠実に再現することを優先いたしました。(C)2008青空文庫"】

『ネオカル日和』

単行本: 280ページ 出版社: 毎日新聞社 (2011/11/25) 《待望の初エッセイ集! 大好きがいっぱい! 【ネオカルチャー】辻村深月が独断と偏愛で選ぶ日本の 〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、お  いしいもの、ヘンなもの、そんなものぜんぶ。  国民的マンガからパワースポットまで、“ネオカル”  の現場を人気ミステリー作家が潜入!辻村深月のマニ  アックなこだわりとキュートでトホホな日常を綴る初  ルポ&エッセイ集》〔表紙帯から〕 〔目次〕 1 ネオカルチャー新発見  (支えは藤子・F・不二雄さんの人格 ドラえもん  レッツ・のう能!のうのう能 ほか)
2 おおむね本と映画の宝箱
 (私をまっすぐ映すものオマージュのための ショートストーリー&エッセイ ほか) 3 四次元の世界へ  (あしたも、ともだち世界で一番好きなラブ ストーリー『パーマン』 ほか) 4 特別収録 ショートショート&短編小説  (彼女のいた場所写真選び ほか) 5 女子とトホホと、そんな日々  (a day in my life 私をハイにする…― ウッカリショッピング ほか) 〔著者〕 ☆辻村 深月(つじむら・みづき)☆ 一九八〇年ニ月ニ十九日生まれ。山梨県出身。千葉大学 教育学部卒業。二〇〇四年に『冷たい校舎の時は止まる』 で第三十一回メフィスト賞を受賞しデビュー。二〇一一 年『ツナグ』で第三十ニ回吉川英治文学新人賞受賞。他 の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』 『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』 『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、 ゼロ、ナナ。』(第一四ニ回直木賞候補作)『V.T.R.』 『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『ふちなしのかが み』『本日は大安なり』(以上、角川書店)、『オーダ ーメイド殺人クラブ』(集英社)『太陽の坐る場所』 『水底フェスタ』(以上、文藝春秋)など多数。新作の 度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者 からの熱い支持を得ています。

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(9)

◆◇◆続々・立ち読み失礼◆◇◆

☆佐高 信『原発文化人50人斬り』毎日新聞社☆(53)

原発安全神話を捏造してきたのは誰か!   政財界、メディアと御用学者とタレント文化人  ――原発翼賛体制のすべてを暴き、フクシマの  惨事を招いた者たちを、怒りをこめて告発する》  (表紙帯から)
▼△第3章 東京電力の歴史と傲慢△▼ (19)
原子力推進に豹変した木川田(その2)

●お役所仕事で「豊富で低廉な電力の供給」ができなくなった時、

《「――木川田一隆の、決断と行動の背景には、次のような信念があ った。 「戦前の、ひどすぎる過当競争と国家統制との弊害を身をもって経験 したわたくしの結論は、人間の創意工夫を発揮するためには、民有民 営の競争的な自由企業とすること、電源部門と配電部門を分割する現 状(日発があった当時)は、積極経営上面白くないので、これを縦の 一貫経営に改めること、そして全国一社は、需要家に対する行き届い たサービスを提供する上から不都合なので、適当に地域的に分割する こと――これらの原則を貫くことが理論的にも実際的最も妥当である との確信をもっていた」 戦争中、戦争を遂行するためには電力の国家管理が必要だと強引にそ の法案を通した、いわゆる革新官僚たちは同時に国総動員法を通過さ せた。 ところが、お役所仕事で「豊富で低廉な電力の供給」ができなくなっ た時、かれは後者によって電力の消費規制を決め、産業界にも国民に も耐久を強いていったのである。 現代においても、耐久や倹約を説くモラル派には、上からの統制主義 者が多い。――》 原発文化人50人斬り ◎戦前も戦後も、役人は、都合が悪くなると、責任を他に転嫁してし まう天才である。「責任を先送り」できる神経は、プライベート・セ クターで働く人間には到底理解できない。こんな屁理屈かも知れない。 「もともと、『この仕事』は前任者がやるべき仕事が、先送りされて きたものだ。だから、私も責任を取る筋ではない」と……。そのうち 『この仕事』の一貫性は歪曲されながら、どこまでも順送りされてい く。年金問題みたいにね そして、誰も責任を取ったタメシがない。 ///////////////////////////////////////////////////////////
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(42)

《国が操る「原発全体主義政策」の病根を知り尽くした  前知事がそのすべてを告発》(表紙帯から)
▼△第7章 大停電が来る(12)△▼
・情報公開どこまで(その1)

●いちいち外に報告していたら原発が信頼されなくなる、と

《「――夏が過ぎた九月一六日、私は原発トラブル隠し後発覚初めて、 相次いで再開したばかりの福島第二原発を視察した。発覚から丸一年 以上が過ぎていた。 勝俣社長や東電社員、実際のオペレーションを担っている強力会社社 員と意見を交換した。運転を再開した1号機の中央操作室では、 「不正問題の受け、この一年苦労されたと思う。原発の運転に携わる みなさんと福島県民は運命共同体です。事故が起きれば、浜通りも中 通りも会津も、福島県そのもの吹き飛んでしまう」と訴えた。 東電の社員からこんな意見が出た。 「どこまで情報公開したらみなさんに安心してもらえるか、悩むこと がある」 「悪い情報もあらいざらい出して議論するのが情報公開。都合の悪い 情報を隠す体質を改めないと、どこかで大きな事故につながるし、い つまでたっても信頼は得れれない」と、私は答えた。 この職員には、おそらくこんな認識があると思う。 「もともと、原発の安全管理は厳し過ぎる。だから、いちいち規制に ひっかかったらとはいえ、外に報告していたら、原発が信頼されなく なる」――》 福島原発の真実 (平凡社新書) ◎このときから、十年足らずで、浜通り中通り会津も、福島県そ のもの吹き飛んでしまう」という訴えが現実となってしまった。嗚呼。 さて、震災発生から1年となる3月11日を前に、政府は復興庁の概 要を発表した。復興庁本庁は、東京に置かれ、岩手、宮城、福島の3 県の県庁所在地に地方組織の復興局を設置し、他に、青森県八戸市水戸市にそれぞれ事務所を設ける。発足時の常駐職員数を約250人 とし、本庁に160人、復興局や支所に各30人を配置する方針だと いう。案の定、これでは、現地への配置人数が少ないのではないのか。 またもや、臭い。地方組織は単なる申し送りチャンネルなる疑念大で、 東京の本庁での160人が、縦割り行政のしがらみから、自己保身に 汲々とする仕事振りが、今から目に見えるようだ。

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔春〕植物  遠き白梅採血の結果待つ
http://shop.bungak.com/products/detail.php?product_id=143

≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
車体一面童画の描かれし市バス来て日差しやはらか冬の街角
川北嘉雄(78歳)愛知県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
骨相学(phrenology n.)
頭蓋骨を通して人様のポケットの中のものを掠め 取る学問。その特質は、それあるために人をカモ になり易くしている器官の所在を突き止め、かつ これを喰い物にするところにある。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

口で言うのは簡単さ。
That's easy for you to say.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師>

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

ジョージ・フレデリック・ワッツ“ガラハッド Sir Galahad”
1862年・所蔵:ハーヴァード大学・フォッグ美術館 米国) ◎ガラハッドは、アーサー王伝説にでてくる円卓の騎士の一人。 アーサー王に聖杯探索の任務を与えられ聖杯を見つけたという 伝説の騎士。 ◇ジョージ・フレデリック・ワッツ (George Frederic Watts,1817年2月23日 - 1904年7月1日) イギリスの肖像画家、寓意画家、彫刻家。ラファエル前派・象徴主義。 愛と生、死をテーマに寓意画を描き、肖像画も多く残しました。ワッ ツは、もともとも肖像画家で有名でしたが、象徴性によってラファエ ル前派に通じ、甘美な抒情性と象徴性のある作品によって、19世紀 後半(ヴィクトリア朝時代)、イギリスを代表する画家となりました。 1867年にロイヤルアカデミーの正会員に。准男爵への推挙を2度も断 る。87歳で生涯を閉じました。 “自画像”(1864年・テイトギャラリー、ロンドン)
GEORGE FREDERIC WATTS STATUE - LONDON
(beekay12 さんが 2007/06/10 にアップロード) 【 George Frederic Watts most famous work, the large bronze statue Physical Energy, shows a naked man on horseback shielding his eyes from the sun. A cast was placed at Rhodes Memorial in Cape Town, South Africa honouring the extravagant majestic ideas of Cecil Rhodes. A casting of this work overlooks the Serpentine in London's Kensington Gardens. Video by author Brian Kavanagh.  】