エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(2)

エドガー・アラン・ポー『黒猫』(集英社文庫)(2)

{主人公が、妻を殺し、その死体を隠す。
  そのシーンを読んだ時、戦慄が走った。
 思わず、自分の家の頼りない壁を見た。}
『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(10)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇骨に埋められた『黒猫』

死体も悪意も人間のエゴも、全部呑み込む壁

◆◇◆続々・立ち読み失礼◆◇◆

☆佐高 信『原発文化人50人斬り』毎日新聞社☆(54)

▼△第3章 東京電力の歴史と傲慢△▼ (20)
原子力推進に豹変した木川田(その3)

●原爆の悲惨な洗礼を受けている日本人が、何故、悪魔の代物を?

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(43)

▼△第7章 大停電が来る(13)△▼
・情報公開どこまで(その2)

●日本の原発行政は今までは、お上に権威があり「黙らせてきた」

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(10)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇骨に埋められた『黒猫』

死体も悪意も人間のエゴも、全部呑み込む壁

《「 ・黒猫 (集英社文庫) 黒猫 (集英社文庫) ・《青空文庫エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 黒猫 THE BLACK CAT 主人公が妻を殺し、その死体を隠す。そのシ ーンを読んだ時、戦慄が走った。 思わず、自分の家の頼りない壁を見た。醤油 の染みや、ポスターの鋲の跡なんかが残る。 生活感に満ちた薄い壁。この中に死体を塗り 込む。この中で猫が鳴く。 主人公の住む家は、うちのような日本家屋で はなく、壁だったきっと造りも素材も違うの だと理解はしていたが、それでもなお、そう いうことができてしまうという事実が衝撃だ った。 それは、じっと汗ばむような現実感に満ちて いた。「壁」というのはそういうもので、そ こは四次元であり、異空間。 死体も悪意も人間のエゴも、全部呑み込み、 涼しい顔してそこにあるのだと、私に迫った。 いくら子供だからって、もちろん世の中のす べての壁に死体が塗り込められているなんて 想像したわけではなかった。 だけど、壁というものはどれも、死体や猫を 呑む可能性があるのだ。 その「今からの可能性」は、すでに終わって しまった誰かの事情を察するよりも、より強 い力で私の心を揺さぶり引きつけた。 」》 (つづく) (Y195-81) ・エドガー・アラン・ポー肖像 ◇「ホイットマンダゲレオタイプ」と呼ばれるもの。 1848年11月に撮影。ホイットマン夫人に与えるために 撮影したもので、夫人が所持していた。 ◆Wikipedia:エドガー・アラン・ポー
Edgar Allan Poe - The Black Cat
(SlipVik さんが 2011/02/23 にアップロード) 【Edgar Allan Poe - The Black Cat Film: Masters of Horror Music: Nox Arcana】
Edgar Allan Poe - The Black Cat
(SpidersHouseAudio さんが 2009/06/03 にアップロード) 【'The Black Cat' by Edgar Allan Poe -Read by Roy Macready - Running time of complete story 29 minutes.】 ◎今日、怖いのは「壁の中」。私はコンクリ ートの中の怖い話を。 それは、マフィアとか、ヤクザとかが絡むコ ンクリート詰め殺人事件ではなくて――。 戦後、まだ日本が復興途上にある時代、知り 合い建設業の人から直接聞いた話です。その ころ、建てられたビルディングのコンクリー トの中には、人間が埋められている場合があ るというのです。 殺人事件ではありません。事故による生き埋 めです。ビル枠に生コンクリートを流し込む とき、作業員が踏み板から足を滑らせて生コ ンクリートと共に落ちていったのです。大量 のコンクリートの流し込みを途中で中止する わけにもいかず、犠牲者をそのままにしたと いうのです。どうして、新聞ダネにならなか のか、その時は、奇異には思いませんでした。 私は、そのビルを教わっていて、いまでも、 そこへ行くのは怖いです。南無阿弥陀仏

『ネオカル日和』

単行本: 280ページ 出版社: 毎日新聞社 (2011/11/25) 《待望の初エッセイ集! 大好きがいっぱい! 【ネオカルチャー】辻村深月が独断と偏愛で選ぶ日本の 〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、お  いしいもの、ヘンなもの、そんなものぜんぶ。  国民的マンガからパワースポットまで、“ネオカル”  の現場を人気ミステリー作家が潜入!辻村深月のマニ  アックなこだわりとキュートでトホホな日常を綴る初  ルポ&エッセイ集》〔表紙帯から〕 〔目次〕 1 ネオカルチャー新発見  (支えは藤子・F・不二雄さんの人格 ドラえもん  レッツ・のう能!のうのう能 ほか)
2 おおむね本と映画の宝箱
 (私をまっすぐ映すものオマージュのための ショートストーリー&エッセイ ほか) 3 四次元の世界へ  (あしたも、ともだち世界で一番好きなラブ ストーリー『パーマン』 ほか) 4 特別収録 ショートショート&短編小説  (彼女のいた場所写真選び ほか) 5 女子とトホホと、そんな日々  (a day in my life 私をハイにする…― ウッカリショッピング ほか) 〔著者〕 ☆辻村 深月(つじむら・みづき)☆ 一九八〇年ニ月ニ十九日生まれ。山梨県出身。千葉大学 教育学部卒業。二〇〇四年に『冷たい校舎の時は止まる』 で第三十一回メフィスト賞を受賞しデビュー。二〇一一 年『ツナグ』で第三十ニ回吉川英治文学新人賞受賞。他 の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』 『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』 『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、 ゼロ、ナナ。』(第一四ニ回直木賞候補作)『V.T.R.』 『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『ふちなしのかが み』『本日は大安なり』(以上、角川書店)、『オーダ ーメイド殺人クラブ』(集英社)『太陽の坐る場所』 『水底フェスタ』(以上、文藝春秋)など多数。新作の 度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者 からの熱い支持を得ています。

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(10)

◆◇◆続々・立ち読み失礼◆◇◆

☆佐高 信『原発文化人50人斬り』毎日新聞社☆(54)

原発安全神話を捏造してきたのは誰か!   政財界、メディアと御用学者とタレント文化人  ――原発翼賛体制のすべてを暴き、フクシマの  惨事を招いた者たちを、怒りをこめて告発する》  (表紙帯から)
▼△第3章 東京電力の歴史と傲慢△▼ (20)
原子力推進に豹変した木川田(その3)

●原爆の悲惨な洗礼を受けている日本人が、何故、悪魔の代物を?

《「――さて、電力会社と国家の争いにおいて、いかがわしさの象徴 のようなものとして、原子力発電が出てきた。 木川田は最初、これに反対した。 「原子力はダメだ。絶対にいかん。原爆の悲惨な洗礼を受けている日 本人が、あんな悪魔のような代物(しろもの)を受けて入れてはなら ない」 部下の熱心な説得にも、木川田はこう拒否していたのである。 それが、ある日突然、変わって、同じ部下に、原子力発電の開発のた めの体制づくりをせよ、と命じた。 なぜ、木川田は豹変したのか? そしてなぜ、「これからは、原子力こそが国家と電力会社との戦場に なる。原子力という戦場での勝敗が電力会社の命運を決める、いや、 電力会社の命運だけではなく、日本の命運を決める」というまでにな ったのか。 日本という国、日本人という民族は、左翼に対しては歯止めが利いて いて容易に動かないが、右翼が出てくるとあっけなく動く。 かって、電力会社は国家管理となり、企業としての主体性も、活力も 失った。その悪魔が甦ると、木川田は強い危機感を抱いたのかもしれ ない。 一九七〇年一一年ニ五日、三島由紀夫自衛隊の決起を叫んで割腹自 殺した時、当時、東電の社長だった木川田は、取締役総務部長の平岩 を叫び、 「これは一体、日本にとってどういう意味をもつのか」 と、半日くらい語りあったという。――》 原発文化人50人斬り ◎日本は、原爆の悲惨な洗礼を受けたとよく言うが、日本人が、本当 に、心底からそう受け止めているのだろうか、はなはだ疑わしい。 日本政府は、「核兵器を製造せず、装備せず、持ち込まず」という原 則を掲げてきたが、過去、米軍艦はこれを無視して、核兵器を装備し たまま、幾度となく、日本の港湾に入ってきたのを知っていても、政 治家も官僚もメディアも、そして、我々国民も、知っていて、知らな いふりをしてきた。実のところ、原爆の悲惨な洗礼を受けたなどとは、 世界に向けて言えるほどの覚悟は持ち合わせていない。口先だけだ。 これでは、そのうち、日本が核保有国になりうるのは、そう遠い日で はない危惧を感じる。 ///////////////////////////////////////////////////////////
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(43)

《国が操る「原発全体主義政策」の病根を知り尽くした  前知事がそのすべてを告発》(表紙帯から)
▼△第7章 大停電が来る(13)△▼
・情報公開どこまで(その2)

●日本の原発行政は今までは、お上に権威があり「黙らせてきた」

《「――トラブル隠しが発覚して大騒ぎになった直後もこの考え方は 主張されてきた。それでは、原発立地地域の県民は、いったい何を信 頼したらよいのかということになる。 原子力安全・保安院は、「原発の“安心”は、科学の合理的な積み重 ねで実現される」と主張を繰り返してきた。 私は違うと思う。「安心」は断じて「サイエンス」ではない。まして、 県民の納得を得ようせずに、それまでの安全基準を緩和した「維持基 準」という「合理的な科学」は、不具合を隠すために使われているの ではないかと疑われ、福島県民に「安心」は永遠に訪れない。 では、「安心」とはどのようにして得られるのだろうか。それは、原 発のデータや原子力政策のプロセスが透明化されて国民に目に見える ようになり、賛成、反対の意見を言い、知りたいデータを知らせても らうことができる、民主的なプロセスの実現である。 安心とは民主主義プロセスの保証によって、初めてもたらせる。 これまでの日本の原発行政は。「よらしむべし知らしむべからず」と いう態度で一貫してきた。いままではお上に権威があり、「黙らせて きた」。 しかし、インナーサークルの中だけで情報を回していくういちに、取 り返しのつかないことになる。――》 福島原発の真実 (平凡社新書) ◎あれっ、これって、原発行政の是正への兆しだろうか。 20日、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長が、定期検査中の 原子力発電所を再稼働させる条件の「ストレステスト(耐性検査)」 1次評価について、記者会見で、意外にも「1次評価だけでは、原発 の安全性を評価するには不十分である」と述べたのでした。 アッと驚く為五郎! 21日、原子力安全委員会は、経済産業省原子力安全・保安院が「妥 当」とした関西電力大飯原発3、4号機の1次評価の検証作業に入り、 原子力安全・保安院の審査に問題がないことを原子力安全委員会が確 認すると、首相と関係閣僚が地元の同意を得て運転再開の是非を判断 するプロセスになっています。 班目春樹委員長は「政府が決めること。その方針に反対しているわけ ではない」と述べていますが、明らかに、政府の方針とは、合致しま せん。 事実、原子力安全委員会は当初から、さらに詳しい2次評価も含めた 報告を、原子力安全・保安院に求めていましたが、電力各社による2 次評価は、まだ1基分も提出されていません。 この班目春樹委員長のこの発言について、細野豪志原発相は21日の 閣議後の記者会見で、「政府と原子力安全委員会(の考え方)に齟齬 はない」と述べていますが、これは、整合性を欠いています。 内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長が、本来の原子力安全委員 会のレゾンデートルに目覚めたのであれば、大歓迎です。名誉挽回の チャンスだと思います。

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔春〕植物  マラソンの全長うねり梅の村
http://shop.bungak.com/products/detail.php?product_id=143

≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
シャワーやめ湯船につかる秋の夜出しておいてね長袖パジャマ
石原早希(15歳)香川県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
子供時代(childhod n.)
人間の生涯において、白痴も同然な幼年時代と 愚行に満ちた青年時代との中間に位し――罪多 き壮年時代からは二段階、悔い多き老年時代か らは三段階、それぞれ隔たっている一時期。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

目はお母さん似ね。
You have your mother's eyes.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師>

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

G. F.ワッツ“人生のイリュージョン Life's Illusions”
(1849年・所蔵:ロンドン・テイト・ギャラリー) ◇ジョージ・フレデリック・ワッツ (George Frederic Watts,1817年2月23日 - 1904年7月1日) イギリスの肖像画家、寓意画家、彫刻家。ラファエル前派・象徴主義。 愛と生、死をテーマに寓意画を描き、肖像画も多く残しました。ワッ ツは、もともとも肖像画家で有名でしたが、象徴性によってラファエ ル前派に通じ、甘美な抒情性と象徴性のある作品によって、19世紀 後半(ヴィクトリア朝時代)、イギリスを代表する画家となりました。 1867年にロイヤルアカデミーの正会員に。准男爵への推挙を2度も断 る。87歳で生涯を閉じました。 “自画像”(1864年・テイトギャラリー、ロンドン)
GEORGE FREDERIC WATTS STATUE - LONDON
(beekay12 さんが 2007/06/10 にアップロード) 【 George Frederic Watts most famous work, the large bronze statue Physical Energy, shows a naked man on horseback shielding his eyes from the sun. A cast was placed at Rhodes Memorial in Cape Town, South Africa honouring the extravagant majestic ideas of Cecil Rhodes. A casting of this work overlooks the Serpentine in London's Kensington Gardens. Video by author Brian Kavanagh.  】