一人旅で日ごろ頭を悩ましていたしがらみから解放される

一人旅で日ごろ頭を悩ましていたしがらみから解放される

【よく考えてみれば、私たちは貴重なはずの余暇を
 いつの間に過ぎたかわからぬくらいに空費してお
 り、非日常であるべき旅に日常をひきずっており、
 反社会的娯楽もなにも、子供のころに胸ときめか
 せてページを括った読書の快楽を忘れてしまった】

浅田次郎著『ま、いっか。』(73)

第2章 ふるさとと旅(21)
◇読書をする猿◇(中)

一人旅で日ごろ頭を悩ましていたしがらみから解放される

《「 ◆ハッとするピクチャー(Source:REUTERS◇) ◇Best of Cannes (Director Takashi Miike (R) and cast member Takao Osawa (L) and Nanako Matsushima (C) pose on the red carpet as they arrive for the screening of the film "Wara No Tate" (Shield of Straw) in competition during the 66th Cannes Film Festival in Cannes May 20, 2013. REUTERS/Yves Herman) (Cast member Masaharu Fukuyama poses on the red carpet as he arrives for the screening of the film 'Soshite Chichi Ni Naru' (Like Father, Like Son) in competition at the 66th Cannes Film Festival in Cannes May 18, 2013. REUTERS/Regis Duvignau) ここまでお読みなった方の多くは、小説家と いう職業の特殊性を感じたのではあるまいか。 貴重な余暇と、非日常の旅と、今や反社会的 になってしまった読書を、むりやり結びつけ ているように感じた方もいるはずである。 しかしよく考えてみれば、私たちは貴重なは ずの余暇をいつの間に過ぎたかわからぬくら いに空費しており、非日常であるべき旅に日 常をひきずっており、反社会的娯楽もなにも、 子供のころに胸ときめかせてページを括った 読書の快楽を忘れてしまった。 あんがい気付かざるそうした過ちを一挙に恢 復する方法としては、すこぶる有効だと私は 思うのだが、いかがなものであろう。 この旅から帰ると、あらふしぎ、何となく自 分が大人になったような気がする。 どこがどう変わったかと説明できるものでは ないが、たとえばジムやエステや美容院か戻 って鏡を見たときの、その百倍くらい変身し たような感じであろうか。 この著しい効果をあえて分析すればこういう ことになる。 まず一人旅のせいで、日ごろ頭を悩ましてい たしがらみから解放される。そもそも人間関 係というものは、家族にしろ恋人にしろ職場 の面々にしろ友人にしろ、あれこれ熟慮する 間もなく現実が積み上げられていくから、や やこしくなるのである。つまり、すべてリセ ットされる。 」》 ■本文の《今や反社会的になってしまった読 書》というのは、私には少しオーバーに感じ られますが、ちかごろの「読書ばなれ」は、 いずれにせよ、深刻なことは深刻です。 そこで、読書といえば、ひごろ、畏敬する教 育学者の齋藤孝さんの顔が浮かんできます。 年間、数十冊もの著書を世に送り続けている 明治大学文学部教授の斎藤孝さんは、じつは 33歳までは定収入もなく苦労続きの人生を 送っていましたが、一転して、テレビでも、 おなじみの顔に。 運が開けたのは、「不遇時代に読書を重ね、 知識を溜めていたから」だと、どこかで語っ ていました。 齋藤孝さん、明治大学文学部教授。静岡県 出身。東京大学法学部卒業、東京大学大学 院教育学研究科後期博士課程単位取得後、 明治大学文学部教職課程助教授を経て、明 治大学文学部教授。専門は教育学、身体論。 『声に出して読みたい日本語』は150万 部を超えるベストセラーとなりました。 ここで、齋藤孝さんの言葉から。 ・忙しくて読書の時間が取れないという人 もいますが、読書をしないビジネスマンは 論外です。1日1時間の読書タイムも捻出 できないようでは、文章力以前に、仕事力 に大きな問題があると言わざるを得ません。 読書は人生を豊かにするために欠かせない ものです。表現力の問題は脇に置いたとし ても、本を読む時間は確保すべきでしょう。 ・文章を豊かにするボキャブラリーは書き 言葉から得るしかありません。話し言葉は 刹那的なものです。会話を盛り上げること が得意な人でも、文章になると上手く表現 できなくなるのはそのためです。 基本になるのは読書です。自分の価値観や 問題意識に合う本を見つけたら、その著者 の本を立て続けに読む。読むのは、小説や 評論に限らず、ビジネス書でも新書でもい いと思います。特定の著者の本をひたすら 読むことで、その著者のボキャブラリーが 自分のものになります。 ☆おなじみの齋藤孝さん 斎藤孝の朝読おすすめガイド10+100〈1〉絶対、感動! 斎藤孝の朝読おすすめガイド10+100 (1) 絶対、感動! 〈目次〉 ・読みはじめたらとまらない10冊(きまぐろロボット ・おれがあいつであいつがおれで ・大どろぼうホッツェンプロッツ ・盲導犬クイールの一生怪人二十面相坊っちゃん杜子春・くもの糸 ・マザー=テレサ ・ベロ出しチャンマ ・笑説 名古屋語大辞典 ・まだまだある読みたい本100冊― 「読みはじめたらとまらない10冊」の関連本ガイド ☆声に出して読みたい日本語 声に出して読みたい日本語 (つづく) (1402dys-879ent) ☆浅田次郎著『ま、いっか。』(集英社文庫) ま、いっか。 (集英社文庫) ・文庫:272ページ ・出版社:集英社 (2012/11/15) ・さあ、身近の「ま、いっか」について、もう一度考え直して みようか、と。花と読書を愛した青春時代の思い出。巷に氾濫 する美人たちへの忠告。旅と買い物の、とっておきの楽しみ方。 老化について、女の誤解と男の本音。豊富な話題をもとに粋な オヤジ目線で語られるのは、江戸っ子らしいキレの良さと滋味 たっぷりの現代考察。著者の生き方の美学がきらりと光る、軽 妙洒脱なエッセイ集。 自分のために笑え。人のために笑え。いつも背筋を伸ばし、鉄 の心を忘れるな。粋に、一途に、ゆうるりと。浅田次郎が贈る、 軽妙洒脱な生き方指南。 ◎浅田次郎。1951年、東京都出身。自衛隊に入隊、除隊後はア パレル業界など様々な職につきながら投稿生活を続け、1991年、 『とられてたまるか!』で、デビュー。悪漢小説作品を経て、 1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄 道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006 年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞司馬遼太郎賞、2008年 『中原の虹』で吉川英治文学賞を、それぞれ受賞。時代小説の 他に『蒼穹の昴』、『中原の虹』などの清朝末期の歴史小説も 含め、映画化、テレビ化された作品も多い。 ・浅田次郎

浅田次郎著『ま、いっか。』(73)

◆◇◆立ち読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(231)

・単行本: 256ページ ・出版社:文藝春秋 (2011/12/15) ・原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、 ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋なしで はとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の俺たちに は、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る衝撃の事実。 日本最大のタブーがいま明かされる! 誰も書けなかった 命 懸けの衝撃ノンフィクション―。 ★ヤクザと原発 福島第一潜入記 ▼△第五章 原発稼業の懲りない面々(49)△▼

・正体がばれる・(その3)

「道具の名前や使い方を覚えるのに最低8年かかるんだ」
《「―――Mさんという青森の親方は、とくに私をしごいてくれ た。一生分「馬鹿野郎!」と叱られたが、この人の指導がなけれ ば、もっと早く解雇されていただろう。Mさんは私の話を聞き、 大爆笑した。 「Mさんのことはだけは実名で書きますね。死ぬほどしごかれて  毎晩泣いたって」 「書け書け。それが仕事なんだろ」 「使えない作業員でしませんでした」 「あたり前だべ。道具の名前や使い方を覚えるのに最低8年かか  るんだ。仕方ねえべや」 函館から来ていた電気屋の親方は、突然の告白にあっけにとられ ていた。素人からみても腕のいい職人で、無口でダンディな人で ある。特段、なにも言われなかった。ご苦労さんとだけ言ってく れた。 ――」》 ☆福島第1原発残骸 ☆化学防護服 デュポン タイベック ソフトウェアIII型
■世界の原発、最大370基増加 30年までに、経産省試算
静岡新聞】(2013年05月20日経済産業省は20日、総合資源エネルギー調査会の総合部会を開 き、2030年までに世界の原発が90〜370基程度増えると の試算を示した。 経済成長に伴うエネルギー需要の拡大が理由。部会が担う新たな エネルギー基本計画案の検討に当たり、日本の原発輸出を促す根 拠とする思惑がある。   ただ、委員からは「エネルギー政策の軸を決めてから国際社会に (原発を)売り込まないと日本のスタンスに異議が出る」(寺島 実郎日本総合研究所理事長)との意見も出た。   原発は現在、世界で400基程度が稼働中。中国、ロシア、イン ドなど新興国を中心に新設が進むとみている。 ▼寺島実郎委員の「エネルギー政策の軸を決めてから国際社会に (原発を)売り込まないと日本のスタンスに異議が出る」(だれ だって、そう、考える正論)との指摘など、何のその、菅義偉官 房長官は20日の記者会見で、インドとの原子力協定締結に向け た交渉を再開する方針を明らかにしました。 !日本は原発立国へまっしぐら!

※3・11から26カ月 避難の福島県民15万3770人※

◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

鎌田慧、斉藤光政『ルポ 下北核半島――原発と基地と人々』☆(1)

・単行本(ソフトカバー): 224ページ ・出版社: 岩波書店 (2011/8/31) ・原子力発電所・核燃料再処理工場・ウラン濃縮工場・ MOX燃料加工工場・高レベル放射性廃棄物貯蔵施設・ 使用済核燃料の中間貯蔵施設、さらに核戦争の最前線基 地として機能する米軍三沢基地。『六ヶ所村の記録』か ら20年、原子力と軍事に侵食される本州最北の地を見 つづけてきた二人のジャーナリストによる報告。 使用済み核燃料が大量に集積される、もっとも危険な原 子力施設 ― 六ヶ所再処理工場原子力センターが姿を 現しつつあるそこは、かつて、農民の土地だった。マグ ロ漁でしられる本州最北端の大間町では、危険と隣合わ せの「最新鋭」原発が建設されている。 その建設地のど真ん中で、建設に抗い、自然エネルギー で暮らす母と娘がいる。原子力開発・核燃サイクルとい う国策のもとに押し潰されてきた人々の暮らしと土地、 そして矜持。フクシマ原発災害を出来させた構造と同じ 光景が広がる下北核半島の現況をリポートする。 ★ルポ 下北核半島――原発と基地と人々 ▼△ルポ 下北核半島――原発と基地と人々△▼
・まえがき(1)

わが青森県は、日本でもっとも危険な県である

《「―――わが青森県は、日本でもっとも危険な県である。 県の東側、遠く米大陸に突き当たる、太平洋岸に配置された米軍 三沢基地は、米ソ冷戦時代の「核攻撃基地」であり、いまなお米 軍支配の世界戦略をささえている。 米軍三沢基地に隣接して、天ヶ森射爆場がある。天空の高みから 一直線に急降下、海岸に設置された攻撃目標に模擬爆弾を投下し て急上昇する、米戦闘爆撃機の引き裂くような鋭い金属音と爆撃 音は、そこからかなり離れた野外にいて、むかいあったひととの 話が中断されるほどに凄まじい。 射撃する的を狙って、規則的に旋回してくる攻撃機の真下に、猛 毒プルトニウムや使用済み核燃料を収容したプールや再処理工場 など、六ヶ所村の危機施設がひろがっている。 さらに航空、陸上、海上自衛隊の基地が配置され、ここは軍事 と核産業の集中地帯である。 米軍基地といえば、ひとはだれしも沖縄の現実を想い起こす。い まなお米国の「占領政策」は露骨(日米地位協定の差別性を視よ) である。 普天間基地に隣接する沖縄国際大学の校舎に、米軍ヘリコプター が墜落したとき、加害者であるはずの米軍が学内を占拠し、学長 の立ち入りを排除して、証拠のヘリコプターを運び去った。 孤状列島南端のオキナワと北端アオモリとの状況を両眼にいれて 視ると、日本の対米従属の実相が浮かびあがってくる。 ――」》 ★「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書) 「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書)

◎◎◎万能川柳20周年記念ベスト版◎◎◎

仲畑貴志・編集  毎日新聞社刊 (2011/4/14) 毎日新聞の「仲畑流万能川柳」に寄せられた作品  の中から、秀逸句を厳選したとっておきの1260句。  20周年記念特別企画として糸井重里氏、南伸坊氏  ら爆笑鼎談も収録。泣いて笑って20年。5年半、  264万句から超厳選。日本のつぶやき傑作集。 ★万能川柳20周年記念ベスト版
・分かったよ言ってブチッとテレビ消し 四日市 是沢球美子
・御高齢つまらんとこに御はいらぬ   埼玉 黒沢睦
・バカ話人を選んでやってくる     川口 みのり

☆★☆≫ 詩歌逍遙 ≪☆★☆

          釈迢空 
・秋の家・
 ―秋ふかき 隣は 何をする人ぞ 物の音澄む秋 手にとるやうに響く─隣人の物音 こちらの音も かうして 向うへ聞えてるだらう─ 町住みの氣安さ─ 何する人とも聞かずに過ごす氣安さ           (現代襤褸集) ※釈迢空(しゃく・ちょうくう) (1887年2月11日 - 1953年9月3日) 本名折口信夫(おりくち・しのぶ)。国文学者、 民俗学者歌人。大阪生れ。はじめ「アララギ」 同人、後に白秋の「日光」による。作風は浪漫 的な匂いを漂わせつつ市井生活の断面をうたい あげ、表記にも創意をこらした。「海やまのあ いだ」「春のことぶれ」。詩集「古代感愛集」。 小説「死者の書」。研究「古代研究」「口訳万 葉集」ほか多数。 ※Wikipedia:釈迢空   

◆◇◆◇『侏儒の言葉西方の人』◆◇◆◇

芥川龍之介著 新潮文庫版》 侏儒の言葉・西方の人 (新潮文庫)侏儒の言葉(遺稿)◇
・或自殺者・
彼は或瑣末ことの為に自殺しようと決心した。が、その位のこと の為に自殺するのは彼の自尊心には痛手だった。 彼はピストルを手にしたまま、傲然とこう独ひとり語ごとを言っ た。――「ナポレオンでも蚤に食われた時は痒いと思ったのに違 いないのだ。」                         〈150〉

■◇■《シリコンバレー精神金言集》■◇■

梅田望夫著『ウェブ時代5つの定理』から
・文庫: 302ページ ・出版社: 文藝春秋 (2010/2/10) ウェブ時代5つの定理 (文春文庫)インテルアンディ・グローブはこう言った。 「パラノイアだけが生き残る」。グーグルのマ リッサ・メイヤーはこう言う。「政治的になる な、データを使え」―。94年にシリコンバレー に居を定めて以来、ウェブビジネスの最先端に かかわってきた著者が読み解くシリコンバレー の言葉の数々を紹介。ここで取り上げられた言 葉は、皆、英語です。日本語訳は上杉隼人氏。 ※Wikipedia:梅田望夫

◆第1定理 アントレプレナーシップ

《私を起業へ駆り立てた言葉》
もしフラストレーションが報酬よりも大きかったら、 そして、失敗の恐れよりも欲のほうが大きかったら、 そして、新しい技術や製品がつくれるのなら、始めよ。 (仕事を)辞めよ、 そして(ビジネスプランを書く道具を)揃え、 (ビジネスプランを)書き、 (ベンチャーキャピタルから)資金を集め、 (新しい会社を)始めるのだ。 
――ゴードン・ベル
if frustration is greater than reward and greed is greater than fear of failure and a new technology/product is possible then begun exit (job); get (tools to write business plan): write (business plan); get (venture capital); start (new business); … end;
―― Gordon Bell
(1) 

◎◆◎アートのたのしみ《サー・トーマス・ローレンス》◎◆◎

Margaret, Countess of Blessington 1822
〈1822年 Wallace Collection, London, England〉
☆サー・トーマス・ローレンス
(Sir Thomas Lawrence) 〈1769年4月13日 - 1830年1月7日〉 イギリスの画家。ブリストルで生まれ。父は宿屋を営む。6歳 のころから、客の好きな物を描いてみせ、絵かきの片鱗を見せ ていました。父が事業の失敗したときには、トーマスの絵の才 能が家計を支えました。 絵で身を立てる決意をしたトーマスは、1787年にロンドンへ出 て、ジョシュア・レノルズ創設のロイヤル・アカデミーの生徒 となり、彼の絵はたちまち評判を得て、1791年にはアカデミー 会員となります。ほどなく、ディレッタンティ協会の画家に任 命され、国王ジョージ3世のお抱え画家の地位を獲得します。 1820年からロイヤル・アカデミーの会長職に選ばれた。逝去す るまで会長職を務めました。なお、彼は生涯独身を通しました。
☆Sir Thomas Lawrence『自画像』(1788年)
   〈デンヴァー美術館蔵〉 ◆Sir Thomas Lawrence 【アップロード日: 2009/12/09】

◇◆◇マイ視聴コーナー◇◆◇

☆ROD STEWART - SWEET LITTLE ROCK'N ROLLER - SHAKE YOUR MONEYM (アップロード日:2011/07/31) 【Roderick David "Rod" Stewart, CBE (born 10 January 1945) is a British singer-songwriter and musician, born and raised in North London, England and currently residing in Epping. He is of Scottish and English ancestry.】 ☆☆ロッド・スチュワート ・ロデリック・デイヴィッド・スチュワート (Roderick David Stewar)(1945年1月10日 - ) スコットランド系のイギリスのミュージシャン。 60年代後半からジェフ・ベック・グループ、 フェイセズでの在籍を経てソロで活躍。 近年は、『ザ・グレイト・アメリカン・ソング ブック』シリーズの世界的ヒットもあり、カヴ ァー・シンガーとしての側面も注目されている。 ★Wikipedia:ロッド・スチュワート