「読み」がいい時は、勘が冴えるている時

「読み」がいい時は、勘が冴えるている時

{勘が冴えているときは「攻め」である。勘が外
 れ続けるときは「守り」である。気の持ちよう
 に「上昇運・下降運」の影響が出てくる。麻雀
 の戦術ではなくて人間の自然な状態ともいえる}

竹内一郎著『ツキの波』(32)

◆◇◆立ち読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(143)

▼△第四章 ついに潜入! 1Fという修羅場(13)△▼

・フクシマ50にも暴力団・(その1)

誰が誰だか、知られては困る人間たちもいた
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(108)

▼△第三章 原発事故と震災の思想論〈45〉△▼ ・ニ この震災は天罰か――震災をめぐる思想的な問題・

・国民全体の罪を担わされた死・(その2)

罰を受けることなしに罪が赦されるなどと考えるのは甘い

竹内一郎著『ツキの波』(32)

・第2章 直感は考え抜いた末に出来上がる(8)

◇直感に頼る◇(その1)
「読み」がいい時は、勘が冴えるている時
《「 ◇今日の注目写真(Source:REUTERS◇ ◇More diplomacy to try to halt Israel-Gaza fighting (Palestinians gather around a destroyed house as members of the civil defence search for victims under the rubble after an Israeli air strike in Gaza City November 18, 2012. REUTERS/Suhaib Salem) 麻雀には、ツモ以外にも、運を感じさせる要 素がある。 「読み」がいい時と悪い時である。勘が冴え るている時と冴えていない時といってもよい。 自分の手の中にある牌、どちらを捨てても和 了る確率は論理的には大差ないというケース は多々ある。 もしくは、相手がテンパイしている際、同じ くらいに危険な牌があるというケース。 勘が冴えているときは「攻め」である。勘が 外れ続けるときは「守り」である。気の持ち ように「上昇運・下降運」の影響が出てくる。 麻雀の戦術ではなくて、人間の自然な状態と もいえる。 勘が冴えている状態を、阿佐田はこんなふう に語っている。 「ツモった瞬間、いやだなあ、と思ったり、 チクリ、と来たらその牌は絶対捨てません。 そうでなければなんでも捨てます。麻雀は結 果理くつではありませんよ。 自分の手の中から捨てる牌は、チラとその理 くつを考えるために放銃(筆者註・相手に振 って、和了させてしまうこと)することがあ るけれど、ツモ切りの牌では絶対打たない自 信がありますね」(『Aクラスま』) 真面目な人がこの箇所を読んだら怒り出すか もしれない。麻雀の勝ち方を学ぼうとしたら、 「チクリと来たら捨てるな」。これではオカ ルトと同じではないか。 」》 ◎私は、物事に行き詰まった時、どうしも、 理くつで解決しようとします。自分の勘に頼 るのは、科学的ではないと考えて、排除しが ちなのです。 でも、世の中は理くつだけでは、成り立って いないのは、誰もが、経験していることだと 思います。 そんな私が、先ごろ、「リスクとデインジャ ー」の考えに遭遇しました。内田樹著「呪い の時代」(新潮社)を読んでいたときです。 ―― 危機には「リスク」と「デインジャー」の2 種類がある。 「リスク」というのは、ヘッジしたり、マネ ージしたりできる危機のことである。「デイ ンジャー」というのは、そういう手立てが使 えない危機のことである。 喩えて言えば、W杯のファイナルを戦ってい るときに、残り時間1分で、1点のビハイン ドというのは「リスク」である。このリスク は監督の采配や、ファンタジックなパスによ って回避できる可能性がかろうじてある。 一方、試合の最中に、ゴジラが襲ってきてス タジアムを踏みつぶすというのは「デインジ ャー」である。 対処法は「サッカー必勝法」のどこにも書か れていない。だが、そういう場合でも、四囲 の状況を見回して「ここは危ない」、あっち へ逃げた方が安全だ」というような判断がで きる人間がいる。 こういう人はパニックに陥って腰を抜かす人 間よりは生き延びる確率が高い。でも、いち ばん生き延びる確率が高いの、「今日はなん だかスタジアムに行くと『嫌なこと』が起こ りそうな気がするから行かない」と言って、 予定をキャンセルして、家でふとんをかぶっ ていた人間である。 WTC(世界貿易センター)テロの日も、 「なんだか『嫌なこと』が起こりそうな気分 がした」のでビルを離れた人が何人もいた。 彼らがなぜ危機を回避できたのかエビデンス ・ベースで示すことは誰にもできない。 「ただの偶然だ。理屈をつけるな」と眼を三 角にして怒る人がいるけど、そういう人には 「そうですね」と言ってお引き取り願うしか ない。 ―― ここで、私は、付け加えることは、何もあり ません。眼を三角にして怒る人だけは、見た くないだけです。 ちなみに、内田樹さんは、2001年3月、神戸 女学院大学文学部総合文化学科を退官、現在、 神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」 を主宰しています。私は、内田樹さんには、 いつも目から鱗が落ちる教えを蒙っています。 ☆呪いの時代 呪いの時代 ☆日本辺境論 (新潮新書) 日本辺境論 (新潮新書) (つづく) (1198dys-790ent)

『ツキの波』

新書: 189ページ 出版社: 新潮社 (2010/04) ・人間はツキを支配や制御することはできないが、その性質を 知り、波を利用することはできるのではないか。ツキという不 思議な存在を誰よりも深く考え、語り続けてきた作家、阿佐田 哲也(色川武大)。その思想は現代人にとって大きな指針となる。 遺された至言の数々を『人は見た目が9割』の著者が読みとく。 〔目次〕 第1章 運の総量は一定である 第2章 直感は考え抜いた末に出来上がる 第3章 勝利は終末への第一歩 第4章 ヒットを打つよりフォームを固めよ 第5章 真理は市民社会の外にある 第6章 「運の達人」たちに学ぶ 終章  世界は乱雑なまま肯定される 〔著者〕 ☆竹内一郎(竹内たけうち いちろう)☆ ・1956(昭和31)年福岡県久留米市生まれ。劇作家・演出 家・著述業。横浜国大卒。博士(比較社会文化、九大)。 さいふうめい名義で『哲也―雀聖と呼ばれた男―』の原案を担当。 『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』でサントリー学芸賞受賞。 著書に『人は見た目が9割』など。 ツキの波 (新潮新書)参照:2011-11-21「できる人は「声」が違う!」『人は見た目が9割』

竹内一郎著『ツキの波』(32)

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(143)

《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」   某地方の暴力団組長   −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ    書ける原発という巨大なシノギ−    「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、   ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な   しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の   俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る   衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる!   ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》   【表紙帯から】  ▼△第四章 ついに潜入! 1Fという修羅場(13)△▼

・フクシマ50にも暴力団・(その1)

誰が誰だか、知られては困る人間たちもいた
《「――最初の不ニ代建設の死亡事故の時から、私は作業員の 健康診断は意味が薄いと考えていた。 1F(東京電力福島第一原発)では放射線被害を最小限にとど めるため、作業員の年齢層が高い。上限は60歳でのこの年代 なら誰しも持病の一つや二つ持っている。 健康診断の結果、就業できないと判断されたら、替え玉――他 人に頼んで別に病院へ行けばいいのだ。百パーセント自己診療 の健康診断に保険証はいらない。実際、10年ほど前までは不 正が横行していた。 「修正液で手直ししちゃって、それをコピーする。カラーコピ ーを使えば、ぱっと見は分からない。 悪い医者も結構いた。有名だったのは、いわき市の某病院。電 話で名前と連絡先と血液型と身長・体重を伝えると、時間外だ ろうと日曜日だろうと診断書が作ってもらえる。料金も安かっ たんです。1万4000円程度の診断書が3000円くらいで 作れちゃう」(1Fから撤退した協力企業社員) おおよそ4月半ばまでは電離健康診断を求められることもなか ったらしい。多くの作業員に確かめたが、水素爆発当時は電離 健康診断のみならず、放管手帳さえ不要だった。 こうした時系列をみると、東電がパニックから回復していった 様子が明確になる。フクシマ50の中には身元の怪しい作業員 はかなりいる。世界的英雄たちの素性を公表できないのは個人 情報保護のためではない。 誰が誰だか分からなかった上、知られては困る人間たちもいた からだ。 ――」》 ◎日本では、主義主張とは、変節するのが、フツウナノだ! 先週16日、衆院選と同日選となった東京都知事選で、自民党石破茂幹事長は、党本部で会見し、副知事の猪瀬直樹氏を支 援する方針を表明しました。公明党も同日の持ち回り中央幹事 会で猪瀬氏の支持を決めました。 猪瀬直樹氏が、石原慎太郎東京都知事の打診を受け、東京都の 副知事に猪瀬直樹氏が就任したのは、2007年7月のことでした。 猪瀬直樹氏は、1968年には信州大学全共闘議長を務めた“左翼” との印象を持っていましので、“右翼”石原都知事からの要請 を受託したとき、アレッ?と思った記憶があります。 佐高信氏も、かって、こう、書いていました。 ―― 城山三郎は権力に対してノーという作家である。比較するのも 愚かなことだが、同じく作家と名乗っていても、猪瀬直樹はイ エスという作家で、今度は何と“石原ヒットラー”の手下にな った。 東京都の副知事を頼むに際して、意見の違うところは洗脳する と石原は言っているが、小泉純一郎に洗脳されたのを見ても、 猪瀬を手なづけることは、そう難しくないだろう。 石原慎太郎ヒットラーと同じと断定するのは、単なる比喩で はない。江藤淳との対談で、石原はヒットラーを評価している からである。 ヒットラーをどう思っているかと江藤に尋ねられた石原は、 「ぼくはある意味で評価する」 と答え、 「つまり、彼のものの考え方――。彼のような理念が正義であ  ったか悪であったかということじゃなしに、あれは強度な啓  蒙型の政治家――」 と言い、 「それは、きみ、ほんとうにそうか。石原がヒットラーのある  種の能力を評価することはよくわかったけれど、ぼくはヒッ  トラーという人は大きらいなんだ」と遮られている。  (『タレント文化人200人斬り』〈毎日新聞社〉 ―― 西の誰かさんも洗脳されたのかも!? ヤクザと原発 福島第一潜入記文藝春秋 (2011/12/15) ・〈目次〉・ 序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」 →第1章 私はなぜ原発作業員となったのか 第2章 放射能vs.暴力団専門ライター 第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘
第4章 ついに潜入!1Fという修羅場
第5章 原発稼業の懲りない面々 終 章 「ヤクザと原発」の落とし前 ◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(108)

《経済成長も安全保障も「犠牲」の上に成り立っている。  『靖国問題』以来、6年ぶりの書き下ろし新書!  本書のテーマは、犠牲のシステムとしての福島と沖縄  である。それは、一九四五年の敗戦以後、今日までの  日本を「戦後日本」と呼ぶなら、これら二つの地名が、  戦後日本の国家体制に組み込まれた二つの犠牲のシス  テムを表しているからだ。》【表紙帯から】 ▼△第三章 原発事故と震災の思想論〈45〉△▼ ・ニ この震災は天罰か――震災をめぐる思想的な問題・

・国民全体の罪を担わされた死・(その2)

罰を受けることなしに罪が赦されるなどと考えるのは甘い
《「――内村の議論の背景には、彼のキリスト教思想があること を指摘することもできる。 内村はキリスト教の神が、仏教のたとえば阿弥陀如来などと違っ て、単に慈愛の神、愛の神として罪を赦すだけでは神にふさわし くないと信じていた。 罪は罰せられるべきであり、罪にふさわしい処罰が与えられるべ きであって、神は人間の罪に激しく怒り、これを義の神として罰 する。 罰を受けることなしに罪が赦されるなどと考えるのは甘い考えで あって、神はそのような「女性的」で「軟弱」な存在ではない、 などとも言っている。 イエス・キリストが十字架の刑死を遂げたのも、内村によれば、 神であり同時に人でありイエス・キリストが、人類の罪を一身に 担って、神の怒りに発する処罰を受けたいということであって、 この処罰のなかにこそ神の無限の愛が示されている。この処罰な しに、愛によって赦されることはありえないのだ。 このような考えは、キリスト教神学の伝統のなかに強く受け継が れてきたところであった、内村の議論は決してら例外的なもので はない。 ――」》 ◎山下俊一座長「私の人事は県にお任せしている」 18日に、東京電力福島第1原発事故を受け、福島県が実施し ている県民健康管理調査の検討委員会が福島市内で開かれ、秘 密裏に事前の準備会(秘密会)を開いて意見調整するなどして いた問題が発覚して以降初めての会議で、座長の山下俊一・県 立医大副学長は「委員の方々には大変ご迷惑をおかけした。心 からおわびしたい」と陳謝しました。 おいおい、謝るのは、委員じゃない、県民にだ。 会議後に記者会見した山下氏は「(震災後の)混乱の中で検討 委を設置したので不備は仕方ないと思う」と説明。自身の責任 を問われると「私の人事は県にお任せしている」と述べるにと どめました、とさ。 福島県よ、この件で、先に副知事が謝罪しているが、任命権者 の責任は、首相だけじゃないぞ、佐藤雄平知事どの!

◆10月4日現在:福島県民の県外避難者5万9031人(県発表)

福島民報社のニュースサイト ◆◆【国予算編成 越年の公算大】復興どうなる 市町村「事業見通し立たない」 犠牲のシステム 福島・沖縄 (集英社新書)集英社 (2012/1/17) ・〈目次〉・ 第一部 福島 ・第一章 原発という犠牲のシステム ・第ニ章 犠牲のシステムとしての原発、再論 ・第三章 原発事故と震災の思想論 第ニ部 沖縄 ・第四章 「植民地」としての沖縄 ・第五章 沖縄に照射される福島 ★★★本書のテーマは、犧牲のシステムとしての福島と沖縄である。 なぜ、福島と沖縄のか。それれは、一九四五年の敗戦以後、今日ま での日本を「敗戦日本」と呼ぶなら、これら二つの地名が、戦後日 本の国家体制に組み込まれた二つの犧牲のシステムを表しているか らだ。 沖縄が戦後日本の犧牲でったこと。それは、沖縄戦という史上稀に 見る過酷な戦闘の戦場にされた沖縄に米軍が居座り、サンフランシ スコ講和条約第三条によって、沖縄がその米軍の施政下に置かれ、 一九七二年に日本に復帰して以後も、今なお全国の米軍専用施設の 約七四パーセントが沖縄に集中しているという、このことをさして いる。

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔冬〕 天文   中央線冬落日を電車追ふ
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☆★☆≫ 詩歌逍遙 ≪☆★☆

          原民喜 
・コレガ人間ナノデス・
コレガ人間ナノデス 原子爆弾ニ依ル変化ヲゴラン下サイ 肉体ガ恐ロシク膨脹シ 男モ女モスベテ一ツノ型ニカヘル オオ ソノ真黒焦ゲノ滅茶苦茶ノ 爛レタ顔ノムクンダ唇カラ洩レテ来ル声ハ 「助ケテ下サイ」 ト カ細イ 静カナ言葉 コレガ コレガ人間ナノデス 人間ノ顔ナノデス (原爆小景) ※Wikipedia:原民喜   ◆◇◆◇『侏儒の言葉西方の人』◆◇◆◇ 《芥川龍之介著 新潮文庫版》 侏儒の言葉・西方の人 (新潮文庫) ・Blanqui の夢・  宇宙の大は無限である。が、宇宙を造るものは六十幾つか の元素である。是等(これら)の元素の結合は如何に多数を 極めたとしても、畢竟(ひっきょう)有限を脱することは出 来ない。  すると是等の元素から無限大の宇宙を造る為には、あらゆ る結合を試みる外にも、その又あらゆる結合を無限に反覆し て行かなければならぬ。  して見れば我我の棲息(せいそく)する地球も、――是等 の結合の一つたる地球も太陽系中の一惑星に限らず、無限に 存在している筈はずである。  この地球上のナポレオンはマレンゴオの戦に大勝を博した。 が、茫々(ぼうぼう)たる大虚に浮んだ他の地球上のナポレ オンは同じマレンゴオの戦に大敗を蒙(こうむ)っているか も知れない。……  これは六十七歳のブランキの夢みた宇宙観である。議論の 是非は問う所ではない。  唯(ただ)ブランキは牢獄(ろうごく)の中にこう云う夢 をペンにした時、あらゆる革命に絶望していた。このことだ けは今日もなお何か我我の心の底へ滲(し)み渡る寂しさを 蓄えている。  夢は既に地上から去った。我我も慰めを求める為には何万 億哩(マイル)の天上へ、――宇宙の夜に懸った第二の地球 へ輝かしい夢を移さなければならぬ。〈62〉    

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

今日、一緒にランチを食べない?
Why don't we do lunch today?
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 - 講師> ※この番組の放送は4月1日で終了しています。 Wikipedia:岩村圭南

◎◆◎アートのたのしみ《アメリカ》◎◆◎

Boy In Dining Car(食堂車の少年)
・1946年12月7日号『サタデーイブニングポスト』誌表紙作品。 (全作品322点の243番目の絵画。ロックウェルは、1946年  に「ポスト」誌に7点の絵を発表。この絵は1946年の第7番目  の作品になります。ちなみに、彼は1916年から1963年にかけ、  47年間にわたり「ポスト」誌とのタイアップは続きました) ノーマン・ロックウェルは、この絵で、少年が、初めて、自分一 人の判断で、チップを払う場面を描いています。チップ制度が社 会生活に深く根を下ろしている欧米において、チップを「適切」 に払うという判断は、大人への最低条件と言ってもよいでしょう。 紳士のたしなみです。自立心の証しです。 見るからに、少年は、ベテランの給仕から、たいへん行き届いた サービスを受けたようです。少年の真剣な顔つきを見てください。 チップの額を過不足なく払うということは、もう、れっきとした 一人前の大人です。少年は、ミスをおかしてはいけないと、伝票 が穴が開くように見つめています。さしずめ、現代人なら、計算 器をポケットから取り出しているところでしょう。 ロックウェルは、この絵を描くために、ニューヨーク・セントラ ル鉄道(NYC)レイク・ショアから借りた食堂列車を写真撮影 に使用しています。 じつは、絵の中の少年は、ロックウェルの実の子です、ピーター 10歳なんです。 この絵は、英国のイラストレーターのハブロット・ナイト・ブラ ウン(Hablot Knight Browne 1815-1882年)の影響を受けていま す。ブラウンは、チャールズ・ディケンズの長編小説『デイヴィ ッド・コパフィールド』(1849年から1850年にかけて雑誌に月刊 連載)の挿絵で有名です。挿絵の中には似たようなシーンがあり ます。 ロックウェルの父親は、よく、家族たちに、ディケンズの小説を 朗々と読んで聞かせていました。それで、子どもだった頃のロッ クウェルは、父から聞いたお話しをもとに、よく絵を描いていま した。今回の絵が、人の心の琴線に触れるのは、父親への想いが、 息子に投影し、一族の絆が鮮明によみがえるからだと思います。 本物志向の強いはロックウェルは、下絵と写真撮影のために、実 物の食堂列車が必要でした。ニューヨーク・セントラル鉄道会社 は、ロックウェルの求めに応じて、ニューヨーク市内の駅構内に、 1輌の食堂列車を配車しました。 ところが、ロックウェルが駅構内で、最新モデル「20世紀特急」 型食堂車を見たとき、それは、モダン過ぎて彼のイメージする雰 囲気とは、異なるものだったので、旧式の車両に取り替えてもら いました。ロックウェルは、ウィターのモデルにもこだわり、そ れまでに、3人の候補者と面接していましたが、気に入りません でした。 そして、次の週、古い型の食堂列車がやってきました。同時に、 一人のウィターも一緒でした。十分に経験を積んだ28歳のベテ ランでした。そして、やっと、撮影に取りかかれました。ピータ ーの言葉、「この日は一年で一番暑かった」。 ◆ノーマン・ロックウェル Norman Rockwell (1894年2月3日‐1978年11月8日〈84歳〉) ・ノーマン・ロックウェルアメリカの画家、イラストレーター。 軽いタッチでアメリカの市民生活を描いて、アメリカで幅広い大 衆的人気を博しています。 ニューヨーク生まれ、美術学校を出てから、アメリカ・ボーイス カウト協会の雑誌などに絵を書き始め、ボーイスカウト運動への 貢献に対して、後に、世界で十数人しか与えられていない功労賞 (シルバー・バッファロー章)を受賞しています。 1916年から1963年にかけて『サタデー・イーブニング・ポスト』 紙の表紙を飾り、とりわけ1940年代から1950年代のものが人気が あります。 アメリカ人の日常生活を描くことが、作品の重要な主題で、子ど も、とりわけ、少年や犬などの小動物が作品に頻繁に現れるのは、 彼の生い立ちに影響しています。両親とも画家の家庭に、1884年 ニューヨーク郊外で生まれました。 ☆Norman Rockwell ☆Norman Rockwell: 332 Magazine Covers  (Tiny Folios Series) [ハードカバー] Norman Rockwell: 332 Magazine Covers (Tiny Folio) ☆American Chronicles: The Art of Norman Rockwell- part 1 (NormanRockwellMuseum さんが 2008/05/06 にアップロード) 【Promotional video for the nationally touring exhibition organized by Norman Rockwell Museum. Narrated by son and renowned sculptor Peter Rockwell. Visit www.nrm.org to learn about current and upcoming venues. This film was made possible by Ford Motor Company. c2007 Ford Motor Company.】 ☆American Chronicles: The Art of Norman Rockwell- part 2 (NormanRockwellMuseum さんが 2008/05/06 にアップロード) 【Promotional video for the nationally touring exhibition organized by Norman Rockwell Museum. Narrated by son and renowned sculptor Peter Rockwell. Visit www.nrm.org to learn about current and upcoming venues. This film was made possible by Ford Motor Company. c2007 Ford Motor Company.】