『17歳からの死生観 高校生との問答集』(27)
この日まで、教師というものが、そんな
に劇烈を極めるお仕事だとは思ってもい
ませんでした。
天の声。
教師とは、学生の前で完全に無防備のま
ま立ちつづける、渾身の力をふりしぼっ
て直立しつづける宿命にある、と。
そうではあっても、普通の学生は、先生
の真の実力を見抜けないのではないか。
ある日、
張良 (
劉邦 配下の三傑の一人)
が橋の袂を通りかかると、汚い服を着た
老人が自分の靴を橋の下に放り投げ、張
良に向かって「小僧、取って来い」と言
いつけました。
張良 は頭に来て殴りつけようかと思いま
したが、相手が老人なので我慢して、靴
を取って来ました。すると、老人は、こ
んどは足を突き出して「履かせろ」と言
うでないか。
張良 だからこそ、その人をただの老人で
はないと、見抜いたのです。
教師は一度は学生に裏切られる――
(あとがき‐そのニ)
(昨日より続く)
「
まだ、あります。ある大学に通い、大講
義室で教えていたときのことです。
黒板にむかい、チョークで何かを書いて
いたのですが、そのスキをねらって廊下
に逃げ出した学生がいました。
その後ろ姿を発見した私は、学生を追っ
て廊下に飛び出し、追いつめてはげしく
叱責したことがあります。
教室に座らせたとき、何とも空しい気分
に襲われたことが忘れられません。
教師は一度は学生に裏切られる――、な
ぜそんなことをいわれるのかがわかりま
せんでした。
ついで、なぜ、一度なのか、ということ
がまったく見当がつかなかった。
そのとき私は、恩師を裏切りつづけてき
た自分の姿を眼前につきつきられたよう
な気分になったのです。
一度だけではありませんでした。二度も
三度も裏切りつづけてきた自分の姿であ
ります。
しかしいつしか、恩師がはたして私のこ
とだけについていっているのだろうか、
という疑問が鎌首をもたげるようになり
ました。
師と弟子という関係について真実がその
ような言葉で告白されているということ
ではないか、そうも思えるようになった
のです。
裏切り裏切られる教師と学生の関係
その後、私の身の上にも教師の仕事につ
いたり、そこから一時的に離れたりする
時代がやってきました。
私の方が学生たちを裏切ることもありま
したが、学生たちによってしたたかに裏
切られる経験もそれに劣らず積み重ねら
れていきました。
何度も何度も裏切ったり裏切られたりす
る歳月をくり返すことになったのですが、
おそらくそのためでしょう、「一度は裏
切られる」という恩師の言葉がますます
遠いものになっていきました。
一度ということの意味が記憶の彼方に沈
み、教師と学生、師と弟子の関係という
のは、そもそも裏切り裏切られる関係で
はないのか、というあきらめとも居直り
ともつかない中途半端な気分が、やがて
自然に身についていったのです。
教師の方は学生の目をごまかせない
そのまま長い時間が流れていったように
思うのですが、あるとき転機が訪れまし
た。どこからともなく、こんな声がきこ
えてきたのです。
学生は教師の目をいくらもごまかすこと
ができるが、しかし教師の方は学生の前
で学生の目をごまかすことはできない―。
何ともきびしい言葉でした。天からきこ
えてくる容赦のない声でした。
学生は教師の目からいわば自分の背中を
隠すことができる。いろんなつい立てを
もちだしてきて、そのなかにわが身を隠
してしあまうことができる。
けれど教師の方は、学生の目の前ではい
つも無防備のまま立っていなければなら
ない。
たとえわが身を隠そうとしても、そんな
ものはただちに剥ぎとられてしまうから
です。裸にされてしまうからです。
けれども、まさにそうであるからこそ、
教師はまさに教師になるのではないかと
思うのです。
学生の前で完全に無防備のまま立ちつづ
ける、渾身の力をふりしぼって直立しつ
づける――そうであるからこそかれはお
そらく教師なのである。
それが教師という存在の宿命のなのでは
ないでしょうか。
」
(続く)
(M59-19)
『17歳からの死生観 高校生との問答集』(27)
『17歳からの死生観 高校生との問答集』
単行本: 256ページ
出版社:
毎日新聞社 (2010/2/24)
生きることは死ぬことであり、死ぬことは同時に生きることだ。
「
宮沢賢治 」「日本人」「無常観」「非暴力思想」の四つのテ
ーマから、
宗教学者 である著者が「生死の哲学」について語っ
たメッセージのまとめ。全国の高校生を対象に行なわれている
「日本の次世代リーダー養成塾」の六年間の講義を、質疑応答
まで含めて完全単行本化した。
[17歳 vs.78歳]、生死の哲学を上記4つの柱から考える。
<目次>
第1章
宮沢賢治 から考える
(「気違い賢治」、風と黒マント ほか)
第2章 日本人から考える
(三つのキーワード、心の時代変化 ほか)
第3章 無常観から考える
(被災者の微笑、この世の三原理 ほか)
第4章 非暴力思想から考える
(ガンディーと三等車、二つの非暴力主義 ほか)
以上
『日本の次世代リーダー養成塾』のこと
東京都港区赤坂1-14-5-S802
日本の次世代リーダー養成塾
電話番号 03-3505-0906
塾 長
米倉弘昌 /
社団法人日本経済団体連合会 会長
塾長代理
榊原英資 /
青山学院大学 教授
事務局長 加藤暁子
あなたは、日本人としての誇りを持っていますか。
海外に一歩飛び出してみると、外国の人々から日本に
ついて矢継ぎ早に質問されます。そんなとき、日本の
文化や歴史をいかに知らないか愕然とします。「国際
人」という言葉がよく使われますが、国際人たる前に
「日本人である」自覚が必要です。
高校生のための日本の次世代リーダー養成塾 | 全国の高校生対象
愛欲の精神史1 性愛のインド (角川ソフィア文庫 )
釈迦を生んだインドは、
ヒンドゥー教 の生命観を反映した強力な性愛とエロス
が渦巻く狂躁の世界でもあった。そのインドの宗教世界に禁欲と
神秘主義 をも
って分け入り、自己神化論へといたる
ウェーバー の思考をたどり、また同じ禁
欲という観点から、ガンディーの「非暴力」思想の背後にある「性ののり越え」
という奇妙な試み、その聖性と魔性を描く。インドという土壌で展開されるエ
ロスの抑圧と昇華の相克を論じた、探究の書。
両界曼荼羅 のエロチシズムはどこからくるものなのか?「即身成仏」を究極の密
教的エロスとする
空海 密教 。その「入我我入」の思考を跡づけつつ、「空無化
する性」という点でこれに通底する『
源氏物語 』
光源氏 の「色好み」について論
じ、さらに女人往生を説く
法華経 信仰と女
性神 化した菩薩像の考察から、性の超
越としての「変成男子」「変成女子」という変性のエロチシズムについて描く。
密教 的エロスの昇華に焦点を結んだ名著。
愛欲の精神史3 王朝のエロス (角川ソフィア文庫 )
『
とはずがたり 』に描かれた愛欲の世界とその果ての救済のかたちを探る。後深
草院二条をめぐる5人の男との愛の呪縛と遍歴、これと対比される待賢門院璋子の
野性化する奔放な性愛、やがておとずれる愛執の落魄と鎮魂。過剰な性愛の果て
の浄土往生への願い、
西行 を追慕する漂泊の旅、女人出家の懺悔・滅罪について
描く。文庫化にあたり、愛憎関係を救済する『
源氏物語 』の宗教性と無常の観念
などを論じた2篇を増補新訂。
読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
限りなく白きからだに包まれし君のこころはわかる気がする
佐野俊明(23歳)東京都
平成万葉集
☆☆ヨーロッパ古城巡り☆☆ フランス
The Fort de Bertheaume
is a fort in Plougonvelin, the Department of Finistere, France. It is
located on an island, which is nowadays connected to the dry land by
a footbridge.
Fort de Bertheaume - Wikipedia
★米国ゴルフコース見参 イリノイ州 シカゴ★
Marquette Park Golf Course
6700 S Kedzie Ave
Chicago, IL 60629
(312)747-2761
"Marquette Park Golf Course (Marquette Park) " Flyover Tour :
VIDEO
Mandarin Orchard Singapore
333 Orchard Road Singapore Singapore
Meritus Mandarin, Singapur :
VIDEO
◇気になるサイト◇
VIDEO
アンブローズ
ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、西川 正身 (翻訳)
都会風(urbanity n.)
都会にすむ観察者たちが、ニューヨーク以外のすべて都市の住民が身
につけているとしている種類の礼儀正しさ。そのごく普通の表われは、
「失礼しました」という言葉に見ることができるが、この種の礼儀正
しさは、他人の権利を無視することとかならずしも矛盾しない。
新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)