日本列島にはなかった「生き残り」の考え方

『17歳からの死生観 高校生との問答集』(16)
〈著者〉山折 哲雄 (やまおり てつお)

・日本列島にはなかった「生き残り」の考え方
・風土によって変わる人間の考え方、ものの見方

<yuka's fotolife 月の独り言>

『17歳からの死生観 高校生との問答集』(16)

砂漠に生まれたキリスト教の「ノアの箱 舟」的「生き残り」の考えは、風土の違 いがあるにせよ、日本人には、到底、受 け入れがたいものがありますね。 ましてや、友人の肉を食べてでも、生き 残るという発想はなかなか出て来ません。 私は、後三年の役(1083年−108 7年)に参戦した鎌倉権五郎景政が、右 目を射られながらも奮戦した逸話に、日 本人的な「生き残り」の感性を見る思い がします。 身体への尊厳が脈々と流れています。 後3年の役で、16歳のころ、八幡太郎 義家に従って戦った鎌倉権五郎景政は、 金沢柵での戦いで、真っ先に駆け奮戦し、 敵の武将鳥海弥三郎が射た矢に、右目を 貫かれてしまいました。 権五郎は、目に刺さった矢を、ポッキリ とへし折り、噴き出す血を振りまきなが らも、我が目を射た鳥海弥三郎めがけて 猛然と突進して行きました。 権五郎の勢いのすさまじさに、恐れおの のいて逃げ回る弥三郎は、ついには追い つめられて、一騎打ちをせんと振り向い たところを、権五郎の矢に、胸板を貫か れて落馬し、その場で即死。   これを見極めた権五郎は、我が陣屋に取 って返し、「権五郎手負いし故、しばし 休まん」と言ったまま、その場に気を失 って倒れ込んでしまいました。 戦いから帰ってきた同郷の三浦平太郎為 次が、「おお、これはひどい。我が抜い て進ぜよう」とて、権五郎の顔を片足で 踏みつけ、目に刺さった矢を抜きにかか りました。 ところが、顔を踏みつけられて目をさま した権五郎が、やにわに小刀を抜き放ち、 下から三浦を突き刺さんとします。   「何をする、折角矢を抜いてやろうとし たのに。気でも触れたか」 「大きなお世話だ。武士が矢に当たって 死ぬのは本望、しかるに、土足で顔を踏 みつけられるとは、末代までの恥」 この権五郎の言葉に三浦も成るほどとそ の非礼を詫びて、今度は皆に権五郎を押 さえ付けさせて、やっと矢を抜き取った と言うことです。   しかも、鎌倉権五郎は、翌日には、血の 滴る右目にヨモギを押し当てて、戦場を 駆け巡っていた、ということです。
日本列島にはなかった「生き残り」の考え方
(前回より続く) 「 だから、日本に神話の『古事記』や『日 本書記』の中には「ノアの箱舟」のよう な神話は語られていないんです。 もちろん、戦争のようなときには戦場で 日本の兵隊たちも、戦友の肉を食べて生 き残っている、そういう記録がたくさん ある。 戦場においては完全に死んでからその肉 を食べたか、死ぬ前の虫の息のときに殺 してその肉を食べたか、それが分からな い。 戦争という異常時にはそういうことが起 こる。あるいは江戸時代の飢饉のような とき、食べ物が一切なくなったとき、農 村において仲間たちの肉を食べて生き残 ったという記録も残されている。 異常な時期、異常な事件において人間は 何をするか分からない。 しかし、たとえば友人の肉を食べて生き 残った者は有罪か無罪かについて、神の 名においてそれは許されるのか許されな いのか、といったようなものの考え方、 そういう社会の在り方は少なくてもこの 日本列島にはなかった。
風土によって変わる人間の考え方、ものの見方
どちらがいいとか悪いとか言っているん じゃないんだよ。文化とか文明にはそう いう違いがある。 風土によって人間の考え方、ものの見方 というものは変わりうるのだということ を我々は学べばいいわけです。 問題は、そのとき自分はどうするか。 これをいつも自分に問いかけるというこ とが、実は命ということを考える場合の 一番重要な前提であろうと思って、私は この話をしているのです。 そういうことを前提にして、先ほどの無 常という問題、生き残りという問題を考 えてみると、こういうことが言えるので はないかな。 旧約聖書に語られている「ノアの箱舟」 という物語から立ちのぼってくる考え方 というのは、少数の人間でも可能性があ る限り、それを生かす。 多くの犠牲が発生したとしても、それは 致し方のないこととして許容するという 考え方。生き残りうる者をできるだけ多 く生き残らせる、こういう考え方だ。 それに対して無常という考え方は、ほと んどの人間が死んでいくならば、死なな ければならない運命を課せられていると 考える。 そして、もしそうであるならば自分もま た一緒になって死んでいこうと覚悟する、 引き受ける。 それが無常という考え方から出てくる人 間の究極の生き方ではないかと、私は思 うのです。諸君はどのように考えるかな。 」 (続く) (M43-14)

『17歳からの死生観 高校生との問答集』(16)

山折 哲雄さん:
1931年生まれ、岩手県出身。宗教学者東北大学文学部卒業。 専攻は宗教史・日本思想史。国立歴史民俗博物館教授、国際日本 文化研究センター教授、同所長などを歴任。主な著書に『愛欲の 精神史』(小学館/和辻哲郎文化賞受賞)、『近代日本人の美意識』 (岩波書店)、『悲しみの精神史』(PHP 研究所)、『デクノボーに なりたい』(小学館)、『親鸞をよむ』(岩波新書)、『いま、ここ ろを育むとは』(小学館 101新書)、『悪と日本人』(東京書籍)な どがある。平城遷都1300年記念事業評議員大佛次郎賞、和辻哲 郎文化賞、山本七平賞選考委員。 1931年 父が浄土真宗の布教のために赴任していたサンフラ       ンシスコに生まれる。 1937年 帰国して東京に転居。 1943年 母の故郷である岩手県花巻市疎開(そのため、こ       の地の出身である宮沢賢治に度々言及している)。 1954年 東北大学文学部卒業。
『17歳からの死生観 高校生との問答集』
単行本: 256ページ 出版社: 毎日新聞社 (2010/2/24)
17歳からの死生観 高校生との問答集

17歳からの死生観 高校生との問答集

生きることは死ぬことであり、死ぬことは同時に生きることだ。 「宮沢賢治」「日本人」「無常観」「非暴力思想」の四つのテ ーマから、宗教学者である著者が「生死の哲学」について語っ たメッセージのまとめ。全国の高校生を対象に行なわれている 「日本の次世代リーダー養成塾」の六年間の講義を、質疑応答 まで含めて完全単行本化した。 [17歳 vs.78歳]、生死の哲学を上記4つの柱から考える。 <目次> 第1章 宮沢賢治から考える    (「気違い賢治」、風と黒マント ほか) 第2章 日本人から考える    (三つのキーワード、心の時代変化 ほか) 第3章 無常観から考える    (被災者の微笑、この世の三原理 ほか) 第4章 非暴力思想から考える    (ガンディーと三等車、二つの非暴力主義 ほか)                       以上
『日本の次世代リーダー養成塾』のこと
東京都港区赤坂1-14-5-S802  日本の次世代リーダー養成塾 電話番号 03-3505-0906 塾  長 米倉弘昌社団法人日本経済団体連合会会長 塾長代理 榊原英資青山学院大学教授 事務局長 加藤暁子 あなたは、日本人としての誇りを持っていますか。 海外に一歩飛び出してみると、外国の人々から日本に ついて矢継ぎ早に質問されます。そんなとき、日本の 文化や歴史をいかに知らないか愕然とします。「国際 人」という言葉がよく使われますが、国際人たる前に 「日本人である」自覚が必要です。 高校生のための日本の次世代リーダー養成塾 | 全国の高校生対象
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2010年09月20日 09:19:52 投稿
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