チトーが強行した「民族浄化」に凍りつく

“「密約」に想う 塩野七生”を読んで(1)

文藝春秋』四月号掲載

“チトーが強行した「民族浄化」に凍りつく”

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チトーが強行した「民族浄化」に凍りつく

文藝春秋』四月号掲載 「日本人へ・八十三」
“「密約」に想う” 塩野七生(作家・在イタリア)
安倍・麻生両氏、密約「承知していない」
3月9日、日米間の四つの「密約」を検 証してきた外務省の有識者委員会(座長 ・北岡伸一東大教授)は、岡田外相に報 告書を提出しました。 この報告書に応じて、自民党麻生太郎 前首相は、「密約について自分は承知し ていない。核の持ち込み問題についての 当時の説明は、わが国の安全保障を確保 する賢明な対応だった」とのコメントを 発表しました。 かたや、安倍晋三元首相は都内で記者団 に「密約についての申し渡しは前任者か らなかった」と説明。「秘密を暴露して 過去にそういう判断をした人たちを非難 するのではなく、今後の日本の安全のた めに資する形で考えていくべきだ」と述 べました。 麻生前首相、安倍元首相、ご両人の発言 は、当事者意識の希薄な、シャーシャー としたもので、何かが胸に引っかかりま した。
塩野七生さんの“「密約」に想う”に救われる
じつは、その疑問を見事に解消してくれ たのが、『文藝春秋』掲載の塩野七生さ んの“「密約」に想う”でした。短編な がら、どんでん返しの答えが待っていま した。 この記事の執筆時点は二月二十一日です ので、塩野さんは沖縄返還当時の「密約」 問題の結論をまだ知りません。その上で、 筆を進めています。 まず、戦争に敗れたゆえに失った地を、 再度戦争に訴えることなく取り戻すのは、 大変な難事であることを、敗戦国イタリ アで起きた悲劇にふれて、密約の蓋然性 から話しはスタートします。 だが、しかし、塩野七生さんの洞察力は、 アマちゃん野郎の惰眠には、決然と鉄槌 をくだします。お見事なものです。
チトーが強行した「民族浄化」に凍りつく
――― 第二次大戦では、イタリアも敗戦国だっ た。海外にあった植民地は別にして、一 部にしろ本国までも失ったのである。 戦前の地図と戦後の地図を比べてみると、 長靴の形をしたイタリア半島でも最も右 上のところ、つまり最北東部がなくなっ ているのがわかる。 その一帯の中心だったトリエステも、戦 後は国境の町になってしまった。今なら ばスロヴェニアとクロアツィアの海岸部 を、当時のユーゴスラヴィアのに奪われ てしまったからである。どうやって? その後、まもなくユーゴの大統領になる チトーは、まず始めに見境なく、この地 方の住人だったイタリア人を拉致し、あ の地方には数多い、山中に深く切られた 崖穴のそばまで連行する。 そして、鉄の鎖でつないだこの人々の最 初の二人に銃弾を撃ちこんで、穴に突き 落とせば、つながれたの人々も自動的に 落ちていく、というやり方で殺したので ある。 この惨劇は、チトーの思惑どうりにたち まち、現スロヴェニアの南部と、当時は ダルアツィアと呼ばれていた現クロアツ ィアの海岸地帯に住むイタラア人の間に 知れわたった。 恐怖に駈られた人々は、ある者は山岳地 帯を抜け、別の人々は漁船に命を託して、 イタリア目がけて逃げたのである。こう して、イタリア人は一掃され、代わって、 スラヴ民族が移ってきた。 これが、一九四四年に国連統治地域に指 定された直後に、チトーがトリエステま で狙っていたのだが、そこはすでに英米 軍の占領下にあたので、手が出せなかっ たのだ。 ―――    * * * 淡々とした文章で述べられていますが、 事実の残忍さに言葉を失います。 (続く)(N2129-33)

チトーが強行した「民族浄化」に凍りつく

衆議院議員 安倍晋三 公式サイト
「密約」について書かれています。 http://www.s-abe.or.jp/
麻生太郎オフィシャルサイト
「密約」についての記述は見当たりませんでした。 麻生太郎オフィシャルサイト
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