人種差別の壁を超えて日本の美を認めた
世界１７カ国の最新リポート“フランス”
今井佐緒里編「ニッポンの評判」（３１、完）
“もうひとつの「美しき文明―日本に抱く夢”（６、了）
＜yuka's fotolife ブロックビアー＞
人種差別の壁を超えて日本の美を認めた
今井佐緒里編「ニッポンの評判」(３１、完)“フランス”リポーター：今井佐緒里
神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務後、渡仏。 ニース大学法政治学科に在籍しながら執筆活動をしている。 “もうひとつの「美しき文明―日本に抱く夢”（６、了）人種差別の壁を超えて日本の美を認めた
しかし彼らは、みな白人だった。 １９世紀にフランスが世界に先駆けて非 白人国である日本の美を認め、自らの体 内に取り込んでいった事は、いくら強調 してもしすぎることはない。 なぜなら、この時代に人種差別が当り前 の時代だったからだ。フランスの初等教 育に「義務・無料・非宗教」という方針 をうちたてた偉大な政治家ジュール・フ ェリーは、１８８５年の演説で「優秀な 人種（白人）は、劣等な人種（非白人） を文明化するのが義務である」と述べて いる。 また、２０世紀初頭にドイツ皇帝ヴィル ヘルム二世は、「白人が優位に立ち、黄 色人種国家を打倒するべきだ」と訴えて いたのだ。 とはいえ、状況は「差別する人」「差別 を否定する人」のように単純ではない。日本と異なり、政治と文化は密着している
フランス共和国にとって、「美・芸術」 の他に、絶対に譲れないものがもう一つ ある。それは「人権」である。 「自由・平等・博愛」のスローガンで革 命を起こし、１７８９年に人権宣言を発 布して「共和国」を樹立。 その後も帝政や王政の揺り戻しにあいつ つ、「フランスに貴族なんていないわ。 みーんな殺ちゃったわよ」（とある教授 の弁）という過激さ発揮しながらも、４ 世紀にわたって民主政治を必死に模索し ていったフランス人は、もはや本能的に 民主主義の重要さと危うさを知っている。 そして日本と異なり、政治と文化は密着 している。作家が政治家であることはご く普通だし、芸術に対する国の責任や、 芸術の国際政治上の重要さも（利用価値 も含め）心得ている。非白人をこきおろおす一部の知識人
歴史的にフランスの知識人には、非白人 に対して、「文化はすばらしい」と一見 公平で知的そうなそぶりを見せた上で、 「しかし、人権のかけらもない、知的に も道徳的にも劣等な人々である」とこき おろす思想があった。これは「非白人を 文明化してやるのだ」という植民地侵略 を正当化する理論となった。 帝国主義時代などとっくに終わった１９ ９５年、ノーベル賞作家のクロード・シ モンが「私も日本文化には魅了されてい るが日本人は南京やアジア諸国で蛮行を くりかえした劣った人たちだ」と言わん ばかりの論を、フランスの核実験に抗議 した同じくノーベル賞作家の大江健三郎 宛てに「ル・モンド」紙上に発表した。 さすがにこれには開いた口が塞がらない。 このような思想は、まだ一部の保守的な 知識人に根強く残っている面はあるもの の、一般の人の間にはもはや存在しない。 其の点は日本と同じである。非西洋人移民の同化問題に苦労している
しかし、日本と決定的に異なるのは、フ ランスはいま、国の行く末を二分するば かりに移民の同化問題に苦労している点 である。 白人移民はフランスに同化しやすかった。 しかし戦後、旧植民地からの労働者とし て大量にやってきた移民は、アラブやア フリカ世界から非西洋人である。 異文化は美しい。認めもするし、敬意も もつ。彼らと対等な友人だありたい。 でも現実は甘くない。文化・教育背景が 異なるために起こる摩擦。貧しい国から やってきてフランスにスラムをつくった ために起こる犯罪。 日本の「格差社会」などへそが茶をわか すほどの格差。格差のために起こる犯罪。 彼らを受け入れ保護しなくてはならない 「人権宣言を謳った共和国」か、歴史と 伝統ある「西洋のフランス」か――国家 政策だけではなく、一人のフランス人の 心の中で、この二つの対立する概念がせ めぎあっているのだ。異文化に苦しむゆえに
だからこそいま、日本に熱い視線が送ら れるのだと私は思う。 日本は、西洋文明とはまったく異なる独 自の文明をもっている。そして、民主主 義国家であり、自他ともに認める先進国 の一員である。 人々はいま、人種偏見を乗り越えようと する時代に生きているのに、現実には、 たとえ過去に輝かしい文明をもつ国であ っても今は発展途上であるうえに、民主 主義が成熟していない国もある。 フランス共和国の人間は、中でも特に世 論に大きな影響力をもつジャーナリスト は、ある外国の伝統文化の素晴らしさに どれほど心を打たれようとも、人権が、 守られていない政治状況を無視してまで、 その国を手放しで賛美することができな いのである。 「この世のどこかに、自分たちと同じ民 主政治の国で、かつまったく異なる豊か で美しい文明をもち国があってほしい」 ――そのようなフランス人の夢をかなて くれる第一の国が、日本なのではないだ ろうか。（了） ＊ ＊ ＊ そんなフランス人の期待に応えらる日本 になりたいものです。それしても、白人 の非白人に対する蔑視は、生理的レベル のような気がします。 いま、市場で流通している食用の魚であ る大西洋クロマグロを、ワシントン条約 で、「絶滅の恐れがある種」として禁輸 対象にしようとするモナコ提案の一連の 動きは、根本的に、白人優越主義に由来 しているものです。 他民族の食糧資源をコントールしようと する発想そのものが、白人特有の独善行 為です。 当然ながら、「ICATT（大西洋まぐろ類 保存国際会議）」を通して、クロマグロ 乱獲の規制は厳格に実施するのは言うま でもありません。 反捕鯨団体「シー・シェパード」の活動 にしても、白人の偽善的動物愛です。 現在、アフリカの国境線が、直線で仕切 られているのも、白人による、非白人へ の歴史に永久に残る犯罪行為です。 インドでは、牛が聖なる動物とされてい ると言って、インド人が、牛を食べてい る白人を攻撃しているでしょうか。 地球は白人だけのものではないぞ！ 「ニッポンの評判」完 (N218-33)人種差別の壁を超えて日本の美を認めた
コーカソイド - Wikipedia
白色人種、白人とも呼称され、自然人類学における人種分類の一つ。 コーカソイド - Wikipedia 白人至上主義 - Wikipedia 三大人種の一つであるコーカソイドがモンゴロイドやネグロイドよりも先天的に優れているという主張。 白人至上主義 - Wikipediaジュール・フェリー - Wikipedia
フランスの植民地拡大を積極的、熱狂的に支持する。 ジュール・フェリー - Wikipedia今井佐緒里｜新潮社
本書編集者今井佐緒里さんのプロフィール 今井佐緒里 | 著者プロフィール | 新潮社ニッポンの評判―世界17カ国最新レポート (新潮新書)
（目次） 第１章 「クール・ジャパン」へのまなざし ・第一線に就く知日派「ツナミ」世代―オーストラリア ・日本人よりも「日本通」な人々―ロサンゼルス ・サンバと盆踊りの幸福なフュージョン ほか 第２章 「親日感」のさまざまな形 ・世界で一番の片思い―トルコ ・「日本人のふりをする中国人」が出没!―トンガ ほか 第３章 誤解と幻想を超えて ・ノキア社員が目撃した「傲慢な日本人」―フィンランド ・日本とイランを行きつ戻りつ―イラン ・それでも音楽の都を目指す日本人残酷物語―ウィーン ほか
- 作者: 今井佐緒里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/08
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
終章 もうひとつの「美しき文明」 日本に抱く夢―フランス
以上☆ヨーロッパ古城巡り☆ スペイン
The Castle of Santa Barbara, Alicante, Spain. Santa Bárbara Castle - Wikipedia Ref. 葛藤の時代について―スペイン及びスペイン文学における体面のドラマ (叢書・ウニベルシタス) (単行本)★米国ゴルフコース見参カリフォルニア San Diego Area Golf Courses★
"Riverwalk Golf Club (Friars) " Flyover Tour :＜世界のホテル案内＞ 米国 ネバダ州ラスベガス
Mandalay Bay Resort and Casino - Las Vegas - On Voyage.tv : “コンラッド・ヒルトン、ヒルトンホテルを創った男の曾孫パリス・ヒルトン”☆★☆ParisHilton Twitter Update:
Our Bed in the Air ;) I love sleeping on planes :) 約21時間前 TwitPicから
- Our Bed in the Air ;) I love sleeping on planes :)
◇気になるサイト◇
沢田知可子 公式サイト Chikaco Sawada Official Website - 沢田 知可子 沢田知可子 ベスト10 [Limited Edition]
- アーティスト: 沢田知可子
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2005/11/09
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
