先ず、二十一世紀向けの日本語教育こそ
理想の英語学習プラン（２）『英語と運命（６）』
＜estelの記録帳 東京の夜景 ピンクリボンカラーを横目に＞
英語を使いこなすための日本語
なぜ、シンガポール日本人学校の生徒た ちは、「外国、外国語嫌い」になってし まったのか。日本国内での英語学習の場 合、常に、ここは日本で、自分は日本人 だから……という逃げ込む場所があるが、 シンガポールは英語が重要な位置を占め ている多言語社会なので、どっちを向い ても外国語と外国にぶうかって、つくづ くウンザリしてしまうのだろう。 中津燎子さんは、その時以来、具体的な、 小学校向けの英語カリキュラム作りに集 中していくうちに、英語どころか、「二 十一世紀向けの日本語教育」が、より必 要不可欠だという結論にたどりつく。古 い大人どもは手後れだとしても、子供た ちには、英語より、日本語の「二十一世 紀化」が必要と痛感する。 まず、日本語で、「必要な時に正確な言 葉で、優雅・冷静に説明できて、しかも 質問が的確に出来る能力」を養わなけれ ばならない。その基礎的言語能力を備え ていなければ、とうてい、猛獣世界の猛 獣英語を使いこなせるものではないと。小学校英語カリキュラムその１
他者依存の丸投げ方法 一つは、そのものズバリ、「他者依存の 丸投げ方法」である。日本国内では、な かなか実現出来ない「異文化多言語教育」 を海外の教育機関にあずける形にするか、 あるいは、国内の外国人学校にあずける か、いずれにしろ似たような手法で子供 の教育を他国の文化のなかに丸投げする ことには変わりない。 ここに問題がある。「丸投げ教育」で成 功する確率はどれくらいなのか。「成功」 とはどういう状況をさして言うのか。 中津さんは、1990年から1992年にかけて、 たまたま、関東にある二つの外国人学校 に勤務している女性教師から、個別に、 真剣な相談を受けた。 「両親とも日本育ちの日本人で、子供も そうなのですが、なぜこんなに熱心に外 国人学校に入学させたいのか、その意図 がはっきりしないのです。いくら問いた だしてもわからないのです」 三十代半ばのカナダ人女性と四十代後半 のアメリカ人女性は二人とも、きちんと した物腰の、いかにもベテランの教師だ った。 相談の内容は二人ともほとんど同じもの であった。 「私はできるだけご両親に、ご自分の子 供さんにどういう大人になってほしいの ですかと、聞くことにしているのです。 教師たちにどういうゴールをめざして教 育してほしか、希望があれば言ってくだ さい、頼んだのですが……」 両親の答えは。 「別に天才を期待していませんが、英語 がしっかり身につくようになってもらい たいと、願っています」 教師たちは、中津さん真剣に尋ねる。 「これはどういう意味でしょうか。よく わからないので通訳に聞いてもらいまし たが、まだ、わからないのです」（続く） (N79-4)＜目次＞ プロローグ 好奇の虫 第１章 初期の音 第２章 九十平とウメ 第３章 不協和音ブルース三代記 第４章 ボルシチ語とみそ汁語 第５章 メシの種 第６章 朝鮮動乱と英語 第７章 秘訣は「WHY?」と「BECAUSE」 第８章 通訳の限界は皮膚下3糎か5糎 第９章 二人の神父と四人のボランティア 第10章 アメリカン・ドリーム 第11章 アメリカン「悪夢」 第12章 未来塾とヒグマ・ザ・モンスター 第13章 英語と日本人に関わる深い谷 第14章 無責任桃源郷 第15章 一トン爆弾と戦陣訓と東条英機 第16章 理想の英語学習プラン エピローグ 河内の里の最後のクラス
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