親子そろって夏季サマースクールへ

日本は無責任桃源郷(2)『英語と運命(3)』

<estelの記録帳 東京の夜景 都庁ピンクリボンカラー >
二十一世紀の子供たちが心配だ
日本の子供たちが、二十一世紀を、グロ ーバル化の中で、世界に伍して生き抜く ためには、正真正銘の自立心を涵養する 必要がある。 多少でも、ビジネスや交際で外国人と付 き合った人なら、誰でも、痛感している ところである。 中津燎子さんは、子供の自立心涵養のた めに、画期的な提案をしている。 二、三歳の幼児に英語を教えるほどのヒ マと財力があったら、そのお金を貯めて、 五歳になるまで待ち、欧・米・豪を調べ て、国際化教育(異人種、多文化教育) をやっている幼稚園のサマースクールに 一ケ月、子供をあずけることだ。しかも、 両親も同行して粗末なモーテル暮らしで もよいから、毎日のクラスを見学するこ とを勧めている。 五歳児が、こういしたスクールで、実際 に何を見て、何を感じ、何を知るのか。 じっくり観察することだ。 そこで経験することは、きれいな英語で もなければ、むずかしい単語でもない。
多民族のなかで異質の存在を知る
同じクラスで、共に跳びはねたり、ケン カをして、遊びほうけている、金髪、ち じれっ毛、黒髪、茶髪の異人種の子供た ちの存在を同じ人間として当たり前に認 識し、受け入れること。 そして、イヤな相手には「イヤだ」と言え て、その理由を説明できること。何が危 険で、何が安全かを常に言えること。も っとも大切なことは、そういう「自分」 のあり方を、自分で普通のこととして受 け入れこと。 以上の三つを、しっかり身につける。 幼児の頃に、この三点を自然現象に近い 形で仕込んでおくと、わりに無理なく、 「自分の世界」の確立に役立つ。そして 「自分」と「他者」をよく見くらべて考 えることを習得して、次に何が「正常」 で何が「異常」かを考えはじめる。 大人から示された「異常」と「正常」と いうものは、身につかずに記憶から消え ることがあるが、幼いながらも実感した ものは確実に身に残る。 もっとも重要なことは、結果的に「自分 自身」で、「異質は、異常とは違うこと だ」という事実を、正しく認識出来るよ うになる。 異質を異常と誤認識するのは日本人の短 所といえる。昨今、異質を認めない性癖 は、ますます進行しているようで、子供 のいじめ度合いが、ますますエスカレー トしているようだ。 いま、小学校で、インフルエンザに罹っ た生徒を、病気を持ってきた犯人として、     いじめる行為が起きているという。これ も、異質な他者を認めな心情に由来して いる。その深刻さに言葉を失う。
「異文化」「外国」「国際社会」
その他モロモロの「日本以外」のことを、 ふつうの形でとらえることが、日本人に は難しいようである。 たとえば「異文化・多人種問題」につい ても、「外国、なんでも賞讃、なんでも 受け入れ」という過剰受け入れ派と、逆 に、世界で日本の他によい国はないとい う「国粋派」とがある。 そして、この二つの主張の間を、「あれ もいいかもしれないが、これもいいんじ ゃないだろうか」などとつぶやきながら、 漂流しているグループとが存在している。 日本の大人たちは、この三種類のタイプ の異文化対応の間をさまようながら暮ら しいる。 ところが、中津燎子さんは、大人世代は、 これでいいとしても、グローバル化が猛 烈なスピードで進む現今、日本の子供た ちの行く末を、たいへん心配している。
「帰国適応困難期」を経験
中津燎子さんは、15歳で、日本領事館の 現地通訳だっ父の勤務地シベリアのウラ ジオストックから日本に帰ってきた時、 二、三年、無我夢中で「帰国適応困難期」 を過ごした。まわりには、「嫌悪」の匂 いが、いつも行く先々に立ち込めている ような感じだったという。 中津燎子さんは、日本人が、おしなべて 心の底にひそかに抱いている特別のある 「感覚」に注目する。その「感覚」は、 はっきりと系統だった思考ではないので、 多くの人は自覚していない。 「こうだから、こうだ」という筋書きも ない。だからこそ、まっすぐに子供の心 に伝わり、しっかりと心の底に沈殿して ゆく。そして、一つの習癖となる。 その特殊な日本人の感覚というものは、 「他人」または日常的になじみ薄い事物 に対した時の、ほのかな「はにかみ」か ら、多くは始まる。こういう「はにかみ」 のような感情は、日本人以外の人々の間 では、どちらかといえば珍し存在だ。 ちょっと、待った。「はにかみ」って、 日本人の美徳ではないのですか。 「はにかみ」は、「ためらい」から「恐 れ」に変わり、やがて「嫌悪」に流れ着く。 次回で詳しく紹介します。(続く) (N76-4)
英語と運命―つきあい続けて日が暮れて

英語と運命―つきあい続けて日が暮れて

<目次> プロローグ 好奇の虫 第1章 初期の音 第2章 九十平とウメ 第3章 不協和音ブルース三代記 第4章 ボルシチ語とみそ汁語 第5章 メシの種 第6章 朝鮮動乱と英語 第7章 秘訣は「WHY?」と「BECAUSE」 第8章 通訳の限界は皮膚下3糎か5糎 第9章 二人の神父と四人のボランティア 第10章 アメリカン・ドリーム 第11章 アメリカン「悪夢」 第12章 未来塾とヒグマ・ザ・モンスター 第13章 英語と日本人に関わる深い谷 第14章 無責任桃源郷 第15章 一トン爆弾と戦陣訓と東条英機 第16章 理想の英語学習プラン エピローグ 河内の里の最後のクラス
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