現代政治家「文字」に品格を問う

文藝春秋十一月号」で石川九楊氏が

<estelの記録帳 お台場周辺 多重交差>
政治家の資質が文字に現れる
石川九楊先生の「現代政治家「文字」に 品格を問う」を読んで、あるシーンを思 い起こした。9月18日、鳩山政権が掲 げる「政治主導」の成否のカギを握る2 つの組織がスタートを切った。 鳩山由紀夫首相直属で予算の骨格を決め る国家戦略局の前身「国家戦略室」と、 行政の無駄遣いを洗い出す「行政刷新会 議」である。 両組織が入居する内閣府本庁2階では、 この日午後、それぞれのトップの菅直人 副総理・国家戦略担当相と仙谷由人行政 刷新担当相が、鳩山由紀夫首相とともに、 ニコニコ顔で、二つの看板の除幕式に臨 んだ。 日本国民、おそるべし。この序幕式の数 日後、新聞の投書欄に、「国家戦略室」 と「行政刷新会議」の看板の文字はよろ しくない。恥ずかしいから、即刻、書き 替えてくれ、という訴えでした。 石川先生の記事を読んで、この投稿子の 切なる嘆きがよく理解できた。 石川九楊氏も、省庁の看板文字、特に国 土交通省と法務省の看板は書き替え、作 り替えた方がよいと指摘する。「国土交 通省」の文字は、2001年の省庁再編 の際、当時の大臣が揮毫したものだが、 これは東アジア文明圏の一国の官庁の看 板としてふさわしくないので、書きなお したほうがよいだろうと、述べている。 ちなみに、この時の国土交通省の大臣は、 扇千景氏でした。
知らないから、恥ずかしくない
現在のように、書の教養が失せた時代な のだから、別に政治家がどんな字を書こ うと、目くじら立てることではない。 始末の悪いことには、素養がないのにも かかわらず、政治家は、しきりに、色紙 を書いてみせることだ。全く、恐いもの 知らずだ。文字は、政治家の資質を赤裸 々に現わすものなのに。 書家の悲しい性ゆえに、気になってしま うと、石川九楊氏は嘆く。 鳩山由紀夫総理 管直人副総理 岡田克也副総理 小沢一郎幹事長 福島みずほ社民党党首 亀井静香国民新党党首 さらには、小泉政権以降の 安倍晋三元首相 福田康夫元首相 麻生太郎元首相 書に不案内ながら、以上、各位の文字へ のコメントは、なるほどと思う。 明治期、大正期の、正に「書は人なり」 の先達の境地には、及ばないとしても、 せめて「書はスタイルなり」位の教養は 持ちたい。 政治家諸君、石川九楊氏の警世の鐘に耳 を傾けよ。 <<< 鳩山内閣は、東アジア共同体構想を口に した。だが、東アジアというくくりは、 地理的だけでは解きえない。歴史的、文 化的には、漢語=漢字を共通とする地域 (中国、北朝鮮、韓国、越南、日本) を指す。そこは書字=文(かきことば) が主律された言語圏であることについて は、よくよくかみしめる必要があろう。 だかろこそ、私は言う。政治家諸君、書 に向き合いたまえと。書や詩に向きあう ことは政治に向きあうことを意味する。 書や詩の不在は、政治の不在を意味する のだと。 >>> 政治家の皆さんに、この意味がわかれば、 日本はまだ救われるでしょう。 (N72-4)
石川九楊氏を知るために:
書に通ず (新潮選書)

書に通ず (新潮選書)

書に通ず (新潮選書)
書とは何か。文字の起源から前衛書まで を、思索する書家が分析し、鮮やかに解 き明かす。「習字」や「書道」という語 から思い浮かべるイメージとは異なった、 スリルと魅惑に満ちた書のドラマ。 <目次> 第1部 書とはどういう芸術か (書は筆蝕の芸術である書は文学である  書の美の三要素―筆蝕・構成・角度 ほか) 第2部 早わかり中国書史 (古代宗教文字の誕生―甲骨文・金文  文字と書の誕生―篆書・隷書  書の美の確立―草書・行書・楷書 ほか) 第3部 早わかり日本書史 (日本の書への道程  日本の書の成立  新日本の書―漢字仮名交り書の誕生 ほか) 第4部 書の現在と未来を考える (西欧との出会い―近代の書  文士の書と現代書  戦後書の達成 ほか)
参考:
文藝春秋 2009年 11月号 [雑誌]

文藝春秋 2009年 11月号 [雑誌]

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