『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』3

加藤陽子さんが高校生に語りました」3

<estelの記録帳 レインボーブリッジ>

1章 日清戦争「侵略・被侵略」では見えてこないもの

俯瞰的な視座から日中関係を見る
表題にあるように、戦争を「侵略・被侵 略」という一面から見ているだけは、本 質を見抜けないということを、この本は 教えてくれます。 自分の家の窓から見た景色と、三軒隣り の他所の家から見た景色では、同じ景色 を見ていても、見える景色のスコープが 異なります。多くの場合、自分の見た景 色だけが、唯一正しいと思いがちです。 多くは、日清戦争については、アヘン戦 争(1840−42)とアロー戦争(1856−60) での清国の敗北を描いて後に、欧米列強 の圧力によって開国を余議なくされた日 本が、列強を目標にして、近代国家化を 進めるといった構図で書かれています。 このような記述では、欧米からみた中国、 欧米からみた日本という俯瞰的な視座が なく、中国と日本をそれぞれ別々にとら えてしまいがちです。欧米列強の圧力の もとでの、中国と日本との関係は、どう だったのか、との発想は、欠落していま した。 日本という家の窓を通して見ていると、 どんどん落ちる中国、どんどん伸びる日 本といった対比だけが、際立って浮かん できます。そして弱い中国、強い日本と いうイメージが醸し出されます。 実のところ、弱い中国、強い日本といっ たコントラストは、少なくとも、日清戦 争(1894−95)頃までの明治時代には、 あてはまらないです。
軍事衝突は、競争の一側面にすぎない
中国と日本の関係について、アメリカの 歴史学者ウォ―レン・F・キンボールの 言葉が引用されています(イギリス首相 チャーチルアメリカ大統領ローズヴェ ルトの第二次世界大戦中の往復書簡から) 読んで偏見を洗われる思いがしました。 <日本人と中国人にとって、戦争や戦い は、give and take の一つの形態にすぎ ないのだった。日本と中国にとって、二 国間の均衡をどちらがリードするか、そ れをめぐる長い競争は、文化的にも社会 的にも、また、それは、「知の領域」に おいても争われたのだった。> 本書は、このスタンスを保ちながら、記 述されていきます。 東アジアにおいて、日本と中国は、日中 両国に関係において、どちらがリードす るのか、そのことを巡って長いこと競争 してきた国であって、そのリーダシップ をめぐる競争という点では、軍事衝突な どは、文化、経済、社会、そして、知識 人の思想やイデオロギーをめぐる競争の、 ほんの一側面にすぎないという見方です。 覚醒されますね。 日本が中国を侵略する、中国が日本に侵 略されるという物語ではなく、日本と中 国が競いあう物語として過去をみる。日 本の戦争責任を否定するのではなく、侵 略・被侵略といった文脈では見えにくく なっていた、十九世紀から二十世紀前半 における中国の文化的、社会的、経済的 戦略を、日本側のそれと比較しらがら、 日中関係を、述べていきます。(続く) (N65-4)
それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

<目次> 序章 日本近現代史を考える 1章 日清戦争 ―「侵略・被侵略」では見えてこないもの 2章 日露戦争 ―朝鮮か満州か、それが問題 3章 第一次世界大戦 ―日本が抱いた主観的な挫折 4章 満州事変と日中戦争 ―日本切腹、中国介錯論 5章 太平洋戦争 ―戦死者の死に場所を教えられなかった国
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