自分以外はバカの時代

他人を見下ろ若者たち

estelの記録帖 風景



他人を見下す若者たち

それは若者ばかりではない

きょう、取り上げるのは『他人を見下す
若者たち』(講談社現代新書)という本
だが、そのタイトルを借りれば、いまの
日本には、その言動からみて、若者ばか
りではなく、『他人を見下す”偉い人”
たち』が百鬼夜行している。

JR福知山線脱線事故の調査報告書案漏
えい問題で、当時取締役で審議室のトッ
プだった土屋隆一郎・JR西日本副社長
は、「情報を取り、事故に適切に対応し
たいと思った」として自分が幹部に情報
収集のための面会を指示したことを認め
ている。そう語る平然たる表情からは、
反省の色は見えない。常日ごろ、他人を
見下していなければ、こんな保身行動は
取れない。

本書は、自分以外はバカの時代と称して
若者の性癖を分析する。いわく、自分に
甘く、他人に厳しい。努力せずに成果が
欲しい。すぐにいらつき、キレる。無気
力、鬱になりやすい。悪いと思っても謝
らない。

著者は、それは、根拠のない有能感に由
来していると解く。他者を否定したり、
軽視することで、無意志的に自分の価値
や能力を保持したり、高めようとしてい
るからだという。

悲しみの文化の否定

どうして、こんな情けない時代になった
のか。著者は、その原因の一つに、悲し
みの文化の希薄化をあげている。

われわれは人間の社会生活の中で、より
よい生活を追及するあまり、「悲しみ」
を世の中から少しでも取り除こう努力し
てきた。その代わり、怒りの感情を容易
に増加させる時代に突入した。概して、
「悲しみ」は人間の感情弱さを象徴し、
「怒り」は弱さを象徴するが、いま、両
者のバランスが崩れている。

人間の弱さを否定するあまり、子どもが
成長する過程で悲しみの経験を最小限に
抑えてきため、自尊心の肥大化が進み、
弱い人間や傷ついた人間へのやさしさを
喪失させてきたのではないか。

速水 敏彦氏。

1947年愛知県生まれ。名古屋大学教育学
部卒。大阪教育大学助教授、名古屋大学
教育学部附属中・高等学校校長などを経
て、名古屋大学大学院教育発達科学研究
科教授。
<目次>
第1章 感情が変わった
第2章 やる気が低下する若者たち
第3章 他者を軽視する人々
第4章 自己肯定感を求めて
第5章 人々の心に潜む仮想的有能感
第6章 自分に満足できない人・できる人
第7章 日本人の心はどうなるか
(N50-4)


他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)



◇◇◇洒落ているなサイト◇◇◇
シアトルマリナーズ イチロー選手公式サイト
http://web.51channel.tv/



≫平成万葉集

 気がつけば五倍に増えてる住民税「冬のソナタ」に浮かれ居る間に

 得地和子(72歳)東京都

 平成万葉集


〈世界のホテル〉

Hyatt Hotels Corporation