楽譜の上の戦争

「NHK知る楽」月曜日<探究この世界>
8月‐9月(1−8回)は、 『不滅の歌謡
曲』と題して、 旧満州に生まれ、過酷な引
き揚げを体験、その後、歌謡界を代表する作
詞家として数々のヒット曲を生み出してきた
作家・なかにし礼さんが登場しています。

今回のシリーズでは、日本人が耳にし、口ず
さんできた歌謡曲を、読み解き、庶民が生き
た激動の日本近現代史に迫りながら、日本人
のメンタリティと時代を映し出す鏡といえる
謡曲に読み解きます。

テレビのワイドショーで拝見する限りにおい
て、なかにし礼さんの印象は、ふつうの人に
見えましたが、この講座を見ているうち、こ
の人の感性は、天才だと思いました。ご本人
は、ご迷惑でしょうが。

第5回「楽譜の上の戦争」では、歌謡曲の暗
部に踏み込み、国民を一つにした国策ソング
といえる軍歌・軍国歌謡に言及します。

その一つに昭和15年に発表された「建国の歌」
があります。

日本の関東軍のよる傀儡国家であるところの
満州建国を讃える歌です。こうした歌で国民
を煽って、満州への入植を後押していました。
そして、こうした歌を、当時のトップ作詞家
とトップ作曲家が、書いていたたという現実
があります。

軍歌にも、名作と言われるものは少なくあり
ません。音楽的に優れ、その歌詞には人を動
か力があります。しかし、それだからこそ、
罪深いと言えのです。ハートに訴えるものを、
政治的に使うのは、弁解しがたいでしょう。




   建設の歌

 西条八十 作詞
            古賀政男 作曲

よろこびあふれる歌声に 輝け荒野の黄金雲
夜明けだ さ 夜明けだ大陸に

沸き立つわれらの 建設の歌

あの山この谷勇ましく 血潮を流した兄弟よ

いまこそ さ ほほえめ 聴いてくれ

われらのかちどき 建設の歌

 

日本男児と生まれたら この肉この骨大陸へ

埋めよと さ 言われた亡き母の

瞳輝く あかつきの星

砂漠の野菊の朝露に きらめきひらける愛の道

光は さ のぼるよ東から

世界に轟け 建設の歌



でも、やはり、なかにし礼さんの、真骨頂は、
別にあります。

古い一枚のレコードをきかっけに誕生した小
説『長崎ぶらぶら節 』にそれがみられます。

なかにし礼さんは、最初、テープでその長崎
ぶらぶら節を聴きました。そしてレコードを
探し出し、そのジャケットに書かれていたの
が「長崎東検番・愛八、歌・三味線」という
言葉。なかにし礼さんは言います。「そのの
うまさというのを言葉で伝えるのはなかなか
難しいのですが、愛八という女性の人格――
ものの考え方やきっぷのよさといったものが
歌に表出していて、非常に気に入ったのです」
そして、愛八を調べるようになり、長崎学の
研究者・古賀十二郎氏に到達します。

なかにし礼氏。
1938年、中国黒龍江省牡丹江市生まれ。立教
大学文学部仏文科卒。シャンソンの訳詩家と
して活躍後、64年「知りたくないの」のヒッ
トを機に作詩家となる。「今日でお別れ」
「石狩挽歌」「時には娼婦のように」「北酒
場」などのヒット曲を続々と生み出し、日本
レコード大賞ゴールデンアロー賞、日本作
詩大賞などを受賞。その後作家活動を開始し、
1998年『兄弟』を発表。2000年『長崎ぶらぶ
ら節』で第122回直木賞受賞。ほかの主な
著書に『翔べ! わが想いよ』『赤い月』
てるてる坊主の照子さん』『黄昏に歌え』
など多数。また、オペラ、演劇など舞台作品
の台本、演出も数多く手がけている。
(N35−2)


長崎ぶらぶら節 (文春文庫)

長崎ぶらぶら節 (文春文庫)


建設の歌     伊藤久男/1969



New York Times から
U.S.: Open Season on Idaho Wolves - nytimes.com/video



Al Jazeera から
Yemen's president says Iran supports Houthis - 9 Sept 09



お疲れさまでした
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Four Seasons Hotel in New York