デジタル社会はバラ色か

今朝の東京メトロ東西線の5時間にわたる運
休は、システムトラブルによる運休ではなか
ったが、最近、システムトラブルによる交通
機関の運休が度々起きて、数十万人の乗客が
足止めをくらう。なんびとも、デジタル社会
の影響下に生活している。

銀行では、合併によるシステム統合をスケジ
ュール優先で行った結果、ATMの動作停止
や口座の二重引き落としなどのトラブルが発
生した(2002年4月)。

証券取引所では、性能強化の作業後、システ
ムが動作しなくなり、一時取引停止となった
こともあった(2005年11月)。

デジタル方式の機器では、仕事の主要部分は、
生身の人間の書くプログラムが行う。プログ
ラムによって高度で複雑な機能が提供されて
いるのである。しかし、問題は、プログラム
が大規模で複雑になると、検査や検証が困難
になってくる。トラブルを完全に回避するこ
とはできない。宿命だ。

本書は、こんな世界になぜなったのかを究明
していく。今日の日本のデジタル社会は技術
の送り手(製品やサービスを作り出す人々)
も、受け手(仕事や個人生活で製品を利用す
る人々)も、伝え手(メディア、教育機関
法律家、安全評価をする科学者)も、構造的
な問題を抱えていると主張する。


わかりにくい操作、突然の不具合、巧妙な詐
欺など、デジタル社会に生きる困難は確実に
深まっている。。技術者の設計に問題はない
か、メディアは必要なことを伝えているか、
利用者は素朴に信じてしまっていないか。

デジタル化に適応しきれないのは、自分に責
任がると思いこんでいる紳士淑女の皆さん、
あなただけが悪いのはありません。

細かいことでは、最新式の携帯電話のタッチ
スクリーンやノートパソコンのトラックパッ
ドのタッチ操作にも言及していて助かった。
一本指では、?触れる、?急いで二度触れる、
?引くずる、?しばらく押さえてはじく。二
本指では、?つまんで広げる、?つまんで挟
める、?スクロールする、?ぬぐう、?回転
する。さらに、?三本指のぬぐう操作、?四
本指の操作までもある。ワォー!上手く行か
なくても、オレが悪いのではないのだ。


『デジタル社会はなぜ生きにくいか』岩波新書

序章 一九八四年の日本とアメリ
第1章 デジタル化した世界
第2章 情報機器との格闘
第3章 情報洪水の中で
第4章 困難は作られる
第5章 デジタル社会を生き抜く


著者徳田 雄洋。
1951年、東京に生まれる。1977年、東京工業
大学大学院博士課程中退。理学博士。カーネ
ギーメロン大学(1983‐84年)およびピサ大学
(1999年)で客員科学者。現在、東京工業大学
大学院教授。専門はソフトウェア生成系、情
報ネットワーク。2004年ウェブ工学国際会議
最優秀論文賞(ミュンヘン)受賞。著書に「は
じめて出会うコンピュータ科学(全8冊)」(岩
波書店、1990。1991年産経児童出版文化賞
賞)など。


デジタル社会はなぜ生きにくいか (岩波新書)

デジタル社会はなぜ生きにくいか (岩波新書)



相対性理論 アインシュタイン





New York Timws から
World: Famine Fears in Northern Kenya - nytimes.com/video




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