役人は、なぜ、こうも非現実的なのか

役人になるくらいだから、外国語を勉強した
筈です。外国語習熟の難しさは、先刻、ご存
じの筈です。厳しい長時間の仕事をしながら、
3年年間で、日本の国家試験に合格できるレ
ベルの日本語の習得が可能だと、この制度を
草案した人たちは時、真にそう思ったのでし
ょうか。そんな能力のある人は、非常にまれ
です。この現実から遊離した発想がどこから
出てくるのか、摩訶不思議です。どんな精神
構造をしているのか知りたい。フツウの人間
では考えられません。

急速に高齢化が進む日本社会は、このままで
は、2014年には50万人もの介護労働力が不足
するといわれています。そんな中、2008年か
ら外国人介護士の国内への受け入れが始まり
ましたが、この制度も介護地獄解消の切り札
とは、なりそうにもありません。

厚生労働省は、「経済連携協定に基づく外国
人看護師・介護福祉士候補者の適正な受入れ
について」の第3項で、<経済連携協定による
外国人候補者の受入れは、協定において認め
られる滞在の間に看護師・介護福祉士の国家
資格を取得していただき、引き続き我が国に
滞在できるようにすることを目的とした制度
です。したがって、国家資格取得前は受入れ
施設の責任において、国家資格の取得を目標
とした適切な研修を実施していただくことが
何よりも重要となります。>と、ウェブサイト
で記述しています。

この事業を取り仕切っているのが、国際厚生
事業団(JICWELS)です。

国際厚生事業団(JICWELS)は、国際的な保健
・福祉の発展に貢献することを目的として、
1983年(昭和58年)7月7日に厚生省(現厚生
労働省)から社団法人の認可を受け設立されま
した。開発途上国の行政官研修やWHOフェロ
ーの受入れ、国内保健医療専門家の養成、調査
企画や研究開発並びに情報交換及び広報活動な
ど、開発途上国への開発協力事業を推進してい
ます。


いま現在、経済連携協定(EPA)に基づき、
インドネシア、及びフィリピンから看護師・介
護福祉士候補者が来日し、研修に励んでいます。
3年以内(介護福祉士は4年以内)に日本の国
家試験に合格しないと帰国しなければならない
という厳しい条件があります。今年2月の看護
師試験の合格者はゼロです。「言葉の壁が高く、
このままでは1人も受からないのでは」との声
が聞かれます。

日本語、特に漢字の読み書きに苦労しているよ
うです。合格には例年9割前後の得点が必要で
す。現場から、研修生の多くは、敬老精神にあ
ふれ、性格、技術とも申し分ありませんが、問
題は国家試験です。せめて、『臥位(がい)』
などの難解な用語だけにでも英訳を入れてほし
いと」と切実な願いが発せられているのです。

日本人の労働条件改善を目指して、看護・介護
業界の抵抗感が強い中で、政府は協定を結んだ
のに、現実にマッチしていない。これでは、外
交にとっても不幸な結末となります。

海外から看護師や介護士を大勢受け入れている
サウジアラビアは、英語での国家試験を認め、
カナダやオーストラリアは定住促進策を講じて
います。世界的な人材争奪戦が起きかねない中、
日本の政策は、相当にずれています。(N27)


大推薦です。

長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う

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CNN News から


BBC News から



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