男の沽券にかかわるは、死語か - 一日一尺一寸　本屋の小僧

ひとりでも、多くの青年に読んでいただきた
く、８月26日、毎日新聞”みんなの広場”に
投稿された「新生児遺棄　父親の連帯責任問
え」（梶川親子さん、54歳）を転記します。

≪ネットカフェのトイレで生み落とされた赤
ちゃんが死亡した。こういう事件の時、当然
母親だけが責任を問われる。こんな時いつも
思うのだが、父親に責任はないのだろうか。
遊びの末のできごとかもしれないが、「男は
一瞬の遊び」だけで済ませていいのだろうか。
「妊娠」という結果を押し付けられ、将来の
見通しも立たぬ中で出産、子育ての義務を抱
え、悩んでいるうちに出産してしまったので
はないかと容易に想像がつく。ＤＮＡ鑑定で
動かぬ証拠を出せるのだから連帯責任を問う
ようにしたらどうか。そうすれば遊びで望ま
ぬ妊娠をすることは減るし、今回のような悲
惨な事件に少しは歯止めかかると思う。それ
にしても、ネットカフェのトイレで一人です
さまじい陣痛に耐えたのか思うと、赤ちゃん
以上に母親がかわいそうでならない。自業自
得というかもしれないが、そうせざるを得な
い事態になったことに同情する。≫

このような幼稚で無責任な男たちの父親の世
代に隣接する男性の一人として、連帯責任を
痛感します。男を一個の男として、日本人と
しての伝統をしかっかり教えこまなかった責
任です。日本は、昔より、子供を村という共
同体で育て来ました。日本人は、けっこう好
色のようで、村祭りでの、男女のまぐわいは、
ごく自然な成り行きで、出来た子供を、当事
者だけの問題にせず、村全体で善処していま
した。

人間として、恥ずべき行為をした時、よく
「犬畜生より劣る」と父親に怒られました。
いま、そんな言葉を吐いたら、動物たちから
名誉毀損で訴えられますね。それにしても、
女性に、全部、責任を被せてしまう男には、
言葉を失う。

いつでしたか、高速道路高架下に乳児が遺
棄されていました。女性が、同棲の男に、
妊娠を告げたら、男は、中絶させようと、
妊婦の腹を蹴ったという。育てるカネがな
いから、赤ちゃんを捨ててこいと命令する
男。女性は、ひとりで、出産直後で、あまり
歩けないので、赤ちゃんを高架下に捨てしま
いました。この男も日本人の一人なのです。
（Ｎ25）

参考：　
「家族」をつくる―養育里親という生き方 (中公新書ラクレ)