落書きは人間のさがか

ドイツの大学院生が、トイレの落書きを分析
して論文にしたという毎日新聞の記事が目に
止まった。結局、人間は「自己主張」と「他
人攻撃」との2種類に分けらるという。

女子トイレの落書き700件を分析したドイ
ツ・ボン大学の大学院生カトリン・フィッシ
ャーさん(31)の修士論文が「貴重な学術資
料」と独メディアで話題を呼んでいる。落書
きは「思い込みで自己主張する派」と「自分
のことは棚に上げて他人を攻撃する派」に大
別され、つまるところ、人間はこの2種類か
もしれない」と話している。

フィッシャーさんは言語学専攻。「論文のテ
ーマを考えていた時、大学のトイレでひらめ
き」、この約1年間、キャンパス内の約40の
女子トイレを回り、約700の落書きを撮影
して分析、論文「静かな場所の、にぎやかな
壁」にまとめた。

その結果、二つのタイプを発見した。「自分
の思いをひたすら主張する」タイプでは、哲
学的な説を延々と書くなど思い込みが強いも
のが見られた。一方、「自分の意見はないの
に他人の欠点だけ指摘し批判ばかりする」タ
イプでは、他人の落書きの文法の間違いを延
々と表にする例もあった。中には、真剣な議
論が成立するケースもあり、「菜食は本当に
体にいいのか」については、複数の人が壁い
っぱいに計約60回ものやり取りを続けた。た
だ、落書きは刑法の器物損壊罪に該当し、大
学当局は定期的に消している。

落書きで思い出されるのが、昨年、イタリア
フィレンツェ市の「サンタ・マリア・デル
・フィオーレ大聖堂」に日本人旅行者の落書
きが相次いで見つかったニュースを思い出す。

ブロガーの端くれとしては、ネットの匿名性
から、下卑た落書きの書き手に堕すことのな
いよう注意していきたい。

二条河原の落書きもあることだし、落書きも
意義あらん。

        記

此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀綸旨
召人 早馬 虚騒動
生頸 還俗 自由出家
俄大名 迷者
安堵 恩賞 虚軍
本領ハナルヽ訴訟人 文書入タル細葛
追従 讒人 禅律僧 下克上スル成出者


器用ノ堪否沙汰モナク モルル人ナキ決断所
キツケヌ冠上ノキヌ 持モナラハヌ杓持テ 内裏マシワリ珍シヤ
賢者カホナル伝奏ハ 我モ我モトミユレトモ
巧ナリケル詐ハ ヲロカナルニヤヲトルラム


為中美物ニアキミチテ マナ板烏帽子ユカメツヽ 気色メキタル京侍
タソカレ時ニ成ヌレハ ウカレテアリク色好 イクソハクソヤ数不知 内裏ヲカミト名付タル
人ノ妻鞆ノウカレメハ ヨソノミル目モ心地アシ
尾羽ヲレユカムエセ小鷹 手コトニ誰モスエタレト 鳥トル事ハ更ニナシ
鉛作ノオホ刀 太刀ヨリオホキニコシラヘテ 前サカリニソ指ホラス


ハサラ扇ノ五骨 ヒロコシヤセ馬薄小袖
日銭ノ質ノ古具足 関東武士ノカコ出仕
下衆上臈ノキハモナク 大口ニキル美精好


鎧直垂猶不捨 弓モ引ヱヌ犬追物
落馬矢数ニマサリタリ 誰ヲ師匠トナケレトモ
遍ハヤル小笠懸 事新キ風情也


京鎌倉ヲコキマセテ 一座ソロハヌエセ連歌
在々所々ノ歌連歌 点者ニナラヌ人ソナキ
譜第非成ノ差別ナク 自由狼藉ノ世界也


犬田楽ハ関東ノ ホロフル物ト云ナカラ 田楽ハナヲハヤル也
茶香十?ノ寄合モ 鎌倉釣ニ有鹿ト 都ハイトヽ倍増ス


町コトニ立篝屋ハ 荒涼五間板三枚
幕引マワス役所鞆 其数シラス満々リ
諸人ノ敷地不定 半作ノ家是多シ
去年火災ノ空地共 クソ福ニコソナリニケレ
適ノコル家々ハ 点定セラレテ置去ヌ


非職ノ兵仗ハヤリツヽ 路次ノ礼儀辻々ハナシ
花山桃林サヒシクテ 牛馬華洛ニ遍満ス
四夷ヲシツメシ鎌倉ノ 右大将家ノ掟ヨリ 只品有シ武士モミナ ナメンタラニソ今ハナル
朝ニ牛馬ヲ飼ナカラ 夕ニ賞アル功臣ハ 左右ニオヨハヌ事ソカシ
サセル忠功ナケレトモ 過分ノ昇進スルモアリ 定テ損ソアルラント 仰テ信ヲトルハカリ


天下一統メズラシヤ 御代ニ生テサマザマノ 事ヲミキクゾ不思議ナル
京童ノ口ズサミ 十分ノ一ヲモラスナリ
(N14)