わが日本国、よくここまで来たよね


 終戦の日近辺は、どうしても気が滅入る。

そんな中、NHK「BS20周年ベストセレクシ

ョン」の一番組、『あの夏、60年目の恋文』

を、60年目の文字に惹かれて見てしまった。

終戦間際の昭和19年の夏のこと、教育実習

生だった乙女と小学生が60年ぶりに再会し

書簡の往復を始める。少年にとって教育実

習生は淡い初恋の相手だった。眠っていた

あの夏の記憶が鮮やかによみがえる。

 あんな時代にあっても、人びとは健気に

生きていたことを知って心が濡れた。

 この番組を見る前までは、今日は終戦

まつわる繰り言をくどくど書くつもりでいた。

それが恥ずかしくなった。9歳の少年でも

(あるいは少年だからか)終戦の日まで、

日本は勝つと思っていた。いまでも、元

軍国少年は、悲しいかな、この歌を歌える。

 恩賜の煙草を戴きて

 明日は死ぬぞと決めた夜は

 荒野の風もなまぐさく

 ぐっと睨んだ敵空に

 星がまたたく二つ三つ

ところで、終戦後、ほどなくして、こんな歌が

流行りました。

   ジープは走る
        作詞 吉川静夫
        作曲 上原げんと

 向こう通るはジープじゃないか

 見ても軽そうなハンドルさばき

 銀座八町 明るい朝よ

 あなたに こなたに 君に僕

 交わす笑顔に春の風

 ジープでアメリカさん

 ハウ・ドゥー・ユー・ドゥー

 日本の言葉でこんにちは

臆面もなく、私も歌いました。(N6)