ナリ・ポドリスキイ『猫の町』(群像社)

ナリ・ポドリスキイ『猫の町』(群像社

{ある日、人間が猫に襲われ、彼らから猫の
 インフルエンザのウイルスが見つかると、
 人々は一斉に、残虐な猫殺しに走り始めた}
『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(16)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇猫の目は何を見る
ナリ・ポドリスキイ『猫の町』(群像社

猫自身は物も言わずにこちらを見つめるだけ

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦著『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊☆(4)

▼△序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」△▼(4)
・田舎の人間は権威に弱い(2)・

●賛成、反対、みんな好き勝手言うけど本音を言えば金、金、金、

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(49)

▼△第8章 「日本病」と原発政策(4)△▼
・スケジュールありきの原発政策(その2)・

原子力発電さえ国会制定のエネルギー政策基本法に記述なし

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(16)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇猫の目は何を見る
ナリ・ポドリスキイ『猫の町』(群像社

猫自身は物も言わずにこちらを見つめるだけ

《「 ・猫の町 (群像社ライブラリー) [単行本] 猫の町 (群像社ライブラリー) 数年前の春、私の母は女友達とともにカナダ 旅行に行く予定だった。が、旅行まで一ヶ月 に迫った頃、新型インフルエンザが発生した。 日本でもウイルスを国内に持ち込ませないと して、空港で厳重な検査が行われ、初の発病 者が出たとされると深夜のテレビニュースで 厚生労働大臣が会見した。 母たちは話し合いを重ね、結局旅行を断念し た。それは自分たちの身を感染から守るため ではなく、ウイルスの存在する国に出かけた ことに対する周囲からの目を気にしてのこと だった。 今になってみると、母はあの時のことを「夢 を見ていたよう」と言う。興が殺がれてしま った旅行は、再計画の話をまだ聞かない。 『猫の町』の主人公が訪れたのは、旧ソ連の 中でも最も遅れた田舎町。クリミア半島の海 辺の町の人々は猫を愛し、街なかには「スフ ィンクス」の形をした猫の記念碑まで建てら れている。 しかし、ある日、人間が猫に襲われ、彼らか ら猫のインフルエンザのウイルスが見つかる と、人々は一斉に残虐な猫殺しに走り始めた。 三十年前に書かれた本作品は、単なるミステ リ、パニック小説として楽しむにはあまりに も私たちの現実と近い。 作品に一環して流れる、常に誰かにつけられ るている、見えない黒幕の手によってすべて が動かされてと感じる狂気への誘いは、旧ソ 連で作者が感じた閉塞感の表れであるように も読めるし、私たちが不特定多数のマスの目 への怯えや恐怖でもある。 猫自身は物も言わずにこちらを見つめるだけ だが、その目の中に何を見るかは人それぞれ だ。人は自分の内部にないものを見ることが できない。 マスの目の存在を嘆き、旅行を取り止めた私 の母たちの目線もまた、変化しやすいことで 知られる猫の目の中に溶けていく。 そういえば、『猫の町』の猫たちはほとんど 鳴き声が描写されず、人間の様子を窺って動 くにみであることも興味深い。存分に声を聞 いたような気になるのだが。 」》 ◎『猫の町』メモ 主人公の男が訪れてたクリミア半島の海辺の 町はまるで猫に支配されたかのように、夜の 闇を無数の猫がうろついていました。町には スフィンクスのかたちをした猫の記念碑が建 てられいて、町の人たちは猫をこよなく愛し ていました。だが、ある夜、人間が猫に襲わ れ、猫にインフルエンザのウィルスが見つか ると、町は検疫のため封鎖され、感染をおそ れた町の住人は猫殺しに手を染めていきます。 1979年にパリでV.ダリ文学賞を受賞。 ◎猫はどうして誤解さえれるのだろうか。 欧米では、特にひどい。不吉の象徴とする迷 信があり、魔女狩り等によって黒猫が殺され ることがありました。たとえば、ベルギー・ ウェスト=フランデレン州の町イーペルでは 「猫の水曜日」に時計台から黒猫を投げ殺す 行事を19世紀初頭まで行なっていたそうで す。その殺し方が残忍です。 それは、猫のことを、よく知らないからです ね。最近の研究では、少しづつ謎が解けてき ました。 猫は野性・ペット・親・子の4つの気持ち持 っていて、この4つの気持ちが瞬時にコロコ ロと切り替わります。そのため気まぐれに見 えるのだそうです。 猫は孤独を愛しているようでありながら、急 に飼い主に甘えたりもすます。なぜこうした 行動をするのだろうか。もともと猫は、単独 で行動し、待ち伏せによって獲物をしとめま す。そのため一匹でいることを好む性質があ るのです。しかし同時に、猫は、飼い主を、 親のように感じてもいるのです。だから、野 性スイッチが入れば、飼い主のいうことをき かず、親への甘えスイッチが入れば、急に人 にじゃれかかるのだそうです。 ◎猫には、いろんな猫がいる
萩原朔太郎「猫」朗読:嶋村美希子
(youbunko さんが 2010/08/22 にアップロード) 【2010年8月21日におこなわれた下北沢〈Com.Cafe 音倉〉  のオープンマイクイベントに、現代朗読協会メンバー  の嶋村美希子が参戦しました。その最初の作品である  詩の朗読です。ピアノは水城ゆう。  現代朗読協会 ⇒ http://www.roudoku.org
萩原朔太郎 まつくろけの猫が二疋、 なやましいよるの家根のうへで、 ぴんとたてた尻尾のさきから、 糸のやうなみかづきがかすんでゐる。 「おわあ、こんばんは」 「おわあ、こんばんは」 「おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ」 「おわああ、ここの家の主人は病気です」 ◎猫といえば、見逃せない
団四季::『キャッツ』::クリスマス特別カーテンコール
(shikichannel さんが 2011/01/05 にアップロード) 【2010年12月23日〜25日の期間に行われた  クリスマス特別カーテンコールの様子】 (つづく) (Y204-84) (Y205-85休)〜(Y207-87休)

『ネオカル日和』

単行本: 280ページ 出版社: 毎日新聞社 (2011/11/25) 《待望の初エッセイ集! 大好きがいっぱい! 【ネオカルチャー】辻村深月が独断と偏愛で選ぶ日本の 〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、お  いしいもの、ヘンなもの、そんなものぜんぶ。  国民的マンガからパワースポットまで、“ネオカル”  の現場を人気ミステリー作家が潜入!辻村深月のマニ  アックなこだわりとキュートでトホホな日常を綴る初  ルポ&エッセイ集》〔表紙帯から〕 〔目次〕 1 ネオカルチャー新発見  (支えは藤子・F・不二雄さんの人格 ドラえもん  レッツ・のう能!のうのう能 ほか)
2 おおむね本と映画の宝箱
 (私をまっすぐ映すものオマージュのための ショートストーリー&エッセイ ほか) 3 四次元の世界へ  (あしたも、ともだち世界で一番好きなラブ ストーリー『パーマン』 ほか) 4 特別収録 ショートショート&短編小説  (彼女のいた場所写真選び ほか) 5 女子とトホホと、そんな日々  (a day in my life 私をハイにする…― ウッカリショッピング ほか) 〔著者〕 ☆辻村 深月(つじむら・みづき)☆ 一九八〇年ニ月ニ十九日生まれ。山梨県出身。千葉大学 教育学部卒業。二〇〇四年に『冷たい校舎の時は止まる』 で第三十一回メフィスト賞を受賞しデビュー。二〇一一 年『ツナグ』で第三十ニ回吉川英治文学新人賞受賞。他 の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』 『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』 『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、 ゼロ、ナナ。』(第一四ニ回直木賞候補作)『V.T.R.』 『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『ふちなしのかが み』『本日は大安なり』(以上、角川書店)、『オーダ ーメイド殺人クラブ』(集英社)『太陽の坐る場所』 『水底フェスタ』(以上、文藝春秋)など多数。新作の 度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者 からの熱い支持を得ています。

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(16)

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦著『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊☆(4)

《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」   某地方の暴力団組長   −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ    書ける原発という巨大なシノギ−  「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、   ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な   しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の   俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る   衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる!   ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》   【表紙帯から】 
▼△序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」△▼(4)
・田舎の人間は権威に弱い(2)・

●賛成、反対、みんな好き勝手言うけど本音を言えば金、金、金、

《「――それにちょと考えれば、誰だって損得勘定が出来る。原発の 関係会社が街にいっぱい出来て、飲み屋、飯屋にだって活気がでると 計算する。 ここら一帯は元々なにもない寒村だ。国道から一本入れば砂利道ばか りで、人もいない、活気もない。金のない。若いヤツは学校を出ると すぐ都会に出て行っていまう。それは仕事がないからだ。 (後ろを振り向き町内会長に向かって)お前さんのところも、息子が 〇〇電力だったよな? こんなちいちゃい街、役場に就職するか郵便 局に勤めるか、田畑耕すか、魚獲るか。大きな会社なんてどっこも来 てくれない。〇〇電力様様だ。 (建設の)話が表に出たら、街は蜂の巣をつついたような大騒ぎにな ったよ。もう土地はこっちで買ってあるし、それから騒いでも遅せぇ んだけどな。 賛成、反対……みんな好き勝手言うけど、本音を言えば金、金、金、 どれだけ儲かるか、いくら稼げる、頭にあるのは金のことしかない。 電力会社は普通の企業と規模も体質も違う。バックにいるのは日本 政府だ。素直に、はいはい言ってたらなめられちまう。あっちこっ ちから蟻が群がってきて、儲けがよそに持ってかれちゃうんだ。 ――》 ヤクザと原発 福島第一潜入記文藝春秋 (2011/12/15) ・〈目次〉・ 序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」 第1章 私はなぜ原発作業員となったのか 第2章 放射能vs.暴力団専門ライター 第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘 第4章 ついに潜入!1Fという修羅場 第5章 原発稼業の懲りない面々 終 章 「ヤクザと原発」の落とし前 ◎地獄の沙汰も金次第。お偉いさんから、下々まで、蟻のように群 がっていく様子が、絵に描いたようです。ああ、そうか、「地下式 原子力発電所政策推進議員連盟」が結成された目的な分かるような 気がします。 「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が、2011年7月7日、 二回目の勉強会に“専門家”として、招いた講師の京都大学名誉教 授の大西有三氏(地盤工学)が、国の原子力政策の機軸である「核 燃料サイクル」を全く知らなかったという珍事がありました。勉強 会の真の目的は、そこには、無かったんでしょう。 Wikipedia:地下式原子力発電所政策推進議員連盟 /////////////////////////////////////////////////////////////
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(49)

《嘘と欺瞞のメルトダウン。すべての議論はここから始まる!  国が操る「原発全体主義政策」の病根を知り尽くした  前知事がそのすべてを告発》【表紙帯から】
▼△第8章 「日本病」と原発政策(4)△▼
・スケジュールありきの原発政策(その2)・

原子力発電さえ国会制定のエネルギー政策基本法に記述なし

《「――一(佐藤)「痛切に感じるのは、原子力政策は民主主義の熟 度を測る素材であるということです。 原子力政策は、欧州の多くの国では国会の議決や国民投票で決められ ております。しかしながら、わが国の場合、これまでの原子力長期計 画は原子力委員会の決定後、閣議報告のみで決められている。 さらには原子力発電さえ、国会が制定したエネルギー政策基本法には まったく記述がなく、閣議決定で定められるエネルギー基本計画にな ってようやく出てくる。 原子力政策を円滑に展開するには国民的合意が不可欠である。わが国 においても専門家による検討を加え、それを踏まえての国民的な議論 を政策決定プロセスに組み込むべきである。専門家が決めたことを国 民に押し付ける時代ではなくなっております」 ここで私は、原子力政策、特に核燃料サイクルについて、利害のな いニュートラルな有識者の会議を設定し、原子力委員会が徹底した情 報提供をして検討するような、政策評価のプロセス導入を提案した。 ――》 福島原発の真実 (平凡社新書)平凡社 (2011/6/23) ◎この佐藤栄佐久氏の「訴え」が、虚しく虚空に消えていったのを、 歴史的現象として、現在を生きる私たちは、よく知っているのであり ます。官僚には、「顔がない」といわれるように、事務次官が、一、 二年で交代していく昨今のシステム下では、個人の責任を問うことが できません。そして、彼らが垂れ流した悪弊は、人々を黒い濁流に巻 き込みながら、自己増幅されていくのです。早い話が、現在の福島県佐藤雄平知事(二〇〇六年就任)は、さすがに事故後には、県の復 興ビジョンの中に、「脱原発」を明示し、政策転換を行いましたが、 就任した当時には、前任者の佐藤栄佐久知事(一九八八〜二〇〇六在 任)が受け入れを撤回していたプルサーマル計画を承認し、原発推進 の立場で県政をすすめてきた経緯は決して抹消されません。

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔春〕行事  雛たちのはりつめし顔小さき地震
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≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
しんがりの花も見事に咲き終えてダリアは冬の眠りに入りぬ
末森千代子(84歳)福岡県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
殺人(homicide n.)
一人の人間が他の一人の人間のために殺されること。 殺人には四種類ある。すなわち、凶悪な殺人、恕す べき殺人、正当と認め得る殺人、賞賛に値する殺人、 この四種類である。だが、どの種類に属しようと、 殺される当人にとっては大きな問題ではない。―― かような分類は、もっぱら法律家の便宜のために設 けられているのである。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

大切なのはやる気よ。
It's the motivation that counts.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師>

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

ローレンス・アルマ=タデマ“お気に入りの習慣”
(April 1909年・テイト・ギャラリー、ロンドン) ◎ポンペイの遺構をもとに描かれている。戸口上部の フリーズもポンペイの浴場で発見されたものを参考に 描かれている。中央左にある銀の壷は、ヒルデスハイ ムの出土品。 ◇ローレンス・アルマ=タデマ (Lawrence Alma-Tadema, 1836年1月8日 - 1912年6月25日) イギリス、ビクトリア朝時代の画家、ラファエル前派。 オランダ、 ドゥロンレイプ生まれ。1852年、アントワープの美術アカデミーに 入学。1863年、新婚旅行でポンペイへ旅行し、これを機にエジプト、 ギリシア、ローマの古代世界に関心をもつようになります。パリに 移住したのち、普仏戦争を逃れて1870年にロンドンへ渡り、73年に イギリスに帰化。1879年にはロイヤルアカデミー正会員。
Sir Lawrence Alma-Tadema (作品集)
(gilcarosio さんが 2010/01/29 にアップロード) 【 Sir Lawrence Alma-Tadema, OM, RA (8 January 1836 -25 June 1912) was one of the most renowned painters of late nineteenth-century Britain. Born i n Dronrijp, the Netherlands, and trained at the Royal Academy of Antwerp, Belgium, he settled in England in 1870 and spent the rest of his life there. A classical-subject painter, he became famous for his depictions of the luxury and decadence of the Roman Empire, with languorous figures set in fabulous marbled interiors or against a backdrop of dazzling blue Me- diterranean sea and sky. Admired during his lifetime for his draftsmanship and depictions of Classical antiquity, he fell into disrepute after his death and only in the last thirty years has his work been reevaluated for its importance within nineteenth-century English art. Video Edited by Gil Carosio 】