何事も歴史的な基準を徹底的に教えよ
『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（４４）
〈著者〉石川 九楊 （いしかわ きゅうよう）
・何事も歴史的な基準を徹底的に教えよ
・手取り足取りの「帝王教育」が不可欠
＜yuka's fotolife ビーサン１足貝殻２個）＞
『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（４４）
本文で指摘されているように、かっては、 貧乏が最大の教育者でありましたが、現 在のように豊かになりきった社会では、 手取り足取りの手間暇かけた教育が必要 になりました。 人の子の親なら、誰しも、子どもの教育 に無関心であるわけがないでしょう。 両親が、父親も母親も、仕事に時間を占 有されているため、願っていても、思う ように子どもの教育の時間を確保できな いという親が多いのが、日本の現状では ないでしょうか。 それしても、日本人の労働時間は、過労 死の問題も発生するほど、どうして、こ うも長時間なのでしょうか。 最近、話題のワーク・ライフ・バランス といっても、そんな優雅な生活を設計で きる家族は、少数派でしょう。 日本では、週当たり労働時間５０時間以 上の労働者の比率が２８．１％と他国に 比べて格段に多いのです。 比べたくありませんが、アイルランド、 ギリシア、スペイン、フランス、ポルト ガル、ドイツ、デンマーク、フィンラン ド、イタリア、ベルギーは、ほぼ、５％ 前後となっています。 育児休暇だって、気兼ねなく、取得でき る人がどれだけいるでしょうか。 フィンランドのリッポネン元首相が、在 任中に父親休暇をとり、当時の英国のブ レア首相もそれにならって休暇をとりま した。 こんな国に誰がした。同世代の人間の一 人として、申しわけない気持ちでいっぱ いです。ただただ、悲しいばかりです。何事も歴史的な基準を徹底的に教えよ
（昨日より続く） 「 毛筆教育では「はね」や「はらい」を容 易に教えられますが、硬筆で「大」とい う字の左はらいと右はらいの差、あるい は平仮名の「い」という字の「はね」を 教えることは至難です。 できないから、子どもたちは「い」をま ず、左傾斜の斜線を並行に二本書いて、 あとで、そろぞれにはね状の線をつけて、 書くという、奇妙な書き方が定着するの です。 「毛筆先習」で毛筆教育を最初から徹底 していれば、このようなおかしな字は書 きませんし、ペン字教育は不要です。 四年間くらい基本をしっかり身につけれ ば、あとはペンでも鉛筆でも、自然にき ちんと書くことができえるようになるか らです。 他の科目に振り替えられたりで、十分に 時間がとれない事情もありましょうが、 毛筆を持ち、墨をつけて書けばそれでよ いという、おざなりな教育が多いようで す。 大人たちから見れば、子どもの字は興味 深くとも、それは美醜以前ですから、一 点、一画、はね、はらい、転折の書き方 を根気強く教える必要があります。 習字は、ただ文字を「書く」ことを覚え るだけでなく、その中に多くの学習が含 まれています。 中でも対称美と整斉美を核とする文字と 書字から、人間の生活が美しくあるべき ことを学びます。 また、規範と基準を知るということも重 要です。書字には、基本となる基準が存 在します。 その基準を知り、それを知った上で自分 なりのバリエーションをつくたっり、場 合によっては拒絶することもあるでしょ う。それはそれでいいのです。 いま、すべての教育について問題なのは、 歴史的な基準が徹底的に教え込まれずに、 崩れた曖昧な教育が溢れている実情です。手取り足取りの「帝王教育」が不可欠
習字教育には、そうした状況を変えてい く直接的な効果が十分あります。 同じように話し言葉も、たとえば、テレ ビやラジオの外国語講座のようにシチュ エーション別に具体的な形で教えていく ということが必要になってくるでしょう。 親はゴルフの練習場で、インストラクタ ーから一生懸命クラブの握り方を教わっ ているのに、その親が、子どもに鉛筆や 箸の持ち方という一番基本的なものを教 えないという皮肉な現状も、克服される でしょう。 言葉は、ことさら教えなくても、周囲に 溢れており、自然と身につくのだという 考え方があり、その通りではあるのです が、現在のレベルはそんなのんきなこと を言っていられる状況をはるかに超えて しまっています。 かっては貧乏が最大の教育者であり、周 囲から学ぶ自主性と必死さがありました が、現在のような豊かになりきった社会 では、手取り足取りの「帝王教育」が不 可欠で、言葉の話し方（口のきき方）、 字の書き方（鉛筆の持ち方）を徹底的に 教え込んでおく必要があります。 」 （続く） (M17-4)『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（４４）
石川 九楊 さん：
昭和二十年、福井県に生まれ。京都大学法学部を卒業。 書家・書道史家。京都精華大学教授・同大学表現研究 機構文字文明研究所所長。平成三年『書の終焉 近代 書史論』でサントリー学芸賞、十四年『日本書史』で 毎日出版文化賞、二十一年『近代書史』で大佛次郎賞 を受賞。作品集に、『盃千文字』『歎異抄―その二十 の形象喩』、主著に『中国書史』『二重言語国家・日 本』『一日一書』『日本語の手さわり』など。縦に書け!―横書きが日本人を壊している [単行本]
＜目次＞
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第２章：「日本」とは「日本語」のことである
・日本語は世界でも特異な言語である ・漢語(漢字)と和語(仮名)の二重言語国家 ・日本語は中国の植民地語 ほか第３章：「縦書き」こそが精神を救う
・縦書きをなくそうとした占領軍 ・丸文字とシャープ文字 ・混乱を極める封筒の表書き ほか 以上書家 - Wikipedia
書家は、書の専門家のこと。日本では書人ともいい、近年、 書道家ともいうようになった。中国語では、書法家という。 ◆日本を代表する書家 平安時代、空海・橘逸勢・嵯峨天皇の三筆をはじめ、名家が輩出し、 名筆が遺存した。また、かなが出現し、かなと漢字との調和が日本 書道の大きな課題として提示され、これに応じて和様書道が完成さ れた。その完成者は、小野道風である。道風の後、藤原佐理・藤原 行成と、いわゆる三跡が相継ぎ、黄金時代を現出した。 書家 - Wikipedia書字ノススメ (新潮文庫)
◆ワープロ、パソコンの普及などにより、手で文字を書くという行為が 次第に消滅しつつある。音声中心の西欧諸語と違い、漢字仮名交じりの 文字中心言語をもつ日本にとって、これは危機的状況である。なぜなら それは、対人・対物・対自然の接触感覚の基礎を失うことだから…。 激烈な反ワープロ論を含む「闘う書家」の鋭い社会批評集。日本人よ、 本書を読んで「見失った手」を取り戻せ。
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ユリイカ2010年1月号 特集=白川静 一〇〇歳から始める漢字 [ムック]
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Le chateau de Couches est situe sur la commune de Couches en Saone-et-Loire, en contrebas de la ville, sur un replat qui surplombe la vallee de la Vieille. Château de Couches — Wikipédia プラットフォーム [単行本]
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◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆
歯医者(dentist n.)
あなたの口の中に金属を入れたかと思うと、あなたの ポケットの中から何枚かの硬貨をつまみ出す手品師。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)
