『縦に書け!―横書きが日本人を壊している』(27)
〈著者〉石川 九楊 (いしかわ きゅうよう)
・書くように話してこそ世界に通ずる
・曾我ひとみさんに見られるかっての日本人
・人間には肉体と精神の食べものが必要
『縦に書け!―横書きが日本人を壊している』(27)
国際人の
北野武さんが、フランスで出版
された自叙伝『Kitano par
Kitano』の日本語版発売を機会に、
ニッポンの問題点を縦横無尽に語りまし
た。
まったく、日ごろ、私の感じていたこを、
そのまま言ってくれました。
「コンピューターは嫌い。メールも嫌い。
携帯電話は車の中にあるけれど出たこと
ない。
ツイッターだって、冗談の言い合
いをしたり、遊ぶんならいいけど、あれ
を情報として扱っているバカさ加減はよ
く分からないね」
「今の日本って、品がいいとか悪いとか
言わなくなったね。おれらが子供のころ
は、そば屋に行列するとか立ち食いとか
は恥ずかしいという感覚があったけど、
今は、みんな立ってものすごい勢いで食
べてる。どうしてこう下品になったか」
「電車の中の化粧なんて、酔っぱらいの
立ち小便と同じようなもんだけど、平気
でするようになっちゃった」
参考:
【
北野武 ニッポンの問題点を語る(上)
「電車の中の化粧なんて、酔っぱらいの立
ち小便と同じ」産経ニュース
(2010.8.2 13:19)
これは、まさに一億総日本人が、うつつ
(現)を抜かしている惨状ですな。
書くように話してこそ世界に通ずる
(続く)
「
書き言葉中心で、三つの文字、三つの文
体を持つ日本語は、書くように話すとい
うスタイルにならないと世界の言葉と釣
り合いません。
なぜなら、前にも書いたように西欧の言
葉は話すことで神とつながり、日本語は
縦に書くことで神につながっているから
です。
日本語の場合の話す言葉は、神を欠き、
加えて、平仮名語、平仮名話に傾斜しま
すから(漢字語、漢字話は、
同音異義語
が多くて音では通じにくく、かつ型苦し
くなるため、
話し言葉ではあまり使われ
ません)、どういしてても不十分になり、
勢いやその場限りという性質も含まれて
きます。
したがって西欧の
話し言葉に対応するに
は、ていねいに書くように話すことが必
要になるわけです。
たとえば葬儀のときの弔辞などでも、そ
のことがよくわかります。
最近は話しかけるようなスタイルの弔辞
が増えてきましたが、私自身の経験では
この話しかける弔辞で心に染みる例は少
なく、やはり熟慮の上に書きあげたもの
を読み上げるスタイルの弔辞に心に残る
例が多いようです。
曽我ひとみさんに見られるかっての日本人
北朝鮮から帰国した
拉致被害者の曽我ひ
とみさんは、帰国当初、文にまとめたも
のを読み上げてコメントを発表していま
したが、その場その場での思いつきの発
言と違って、聞く側にきちんと真意が伝
わってきました。
その後は、書いたものを持たずに話しこ
とが多くなったようですが、それでも一
語一語、言葉を選ぶような話し方は、ま
さに書くように話すスタイルそのもので
す。
曽我さんは二十数年間を
北朝鮮で暮らし、
そのことによって二十数年間の日本社会
の変化を受けることなく生きてきた結果
が、あの話し方なのでしょう。
むろん曽我さんの個人的な資質に負うと
ころが少なからずあるのでしょうあが、
しかしかっての日本人は、こうであった
と思わせるに十分なものがあります。
人間には肉体と精神の二つの食べものが必要
すでに、筆記具を普通に持てなくなって
いる状況について書きましたが、箸につ
いても同様です。異様な形で箸を持って
いるのは、なにも子どもに限らず、とき
には親子が同じような箸の持ち方で食事
をしている光景さえ見かけます。
食事と文字と言葉は決して無縁なもので
はありません。人間には二種類の食べも
の必要です。言うまでもなく一つは肉体
のためのもの、そしてもう一つは精神の
ためのものです。
評論家の
吉本隆明は『言葉からの触手』
の中で、
「精神にとっての食物、つまり言語。言
葉をしゃっべたり書いたりするのは、
精神が食べることだ」
と書いています。
日本をはじめとする東アジアの漢字文化
圏において、身体の食事は箸で、精神の
食事は筆で摂ります。
身体を維持し、精神を維持するための箸
と筆は欠かせないものですが、その使い
こなしはいま危うくなっています。
言葉が軽視され、書くことが軽視される
土壌の中で、こうした「箸を持てぬ、筆
(筆記具)を持てぬ」現象が起きてきた
わけですが、それをいっこうに省みるこ
となく、パソコンや
ワープロという原代
商品を見さかいのない導入がこの崩壊に
いっそう拍車をかけています。
箸や筆の持ち方は、また、ただ単に書字
の躾や習慣にとどまらず、物事を「掴む
・攫む・抓む(いずれも手偏であること
に注意)」、また把握するという精神の
問題にもつながっています。
」
(続く)
(N336-73)
『縦に書け!―横書きが日本人を壊している』(27)
石川 九楊 さん:
昭和二十年、
福井県に生まれ。
京都大学法学部を卒業。
書家・書道史家。
京都精華大学教授・同大学表現研究
機構文字文明研究所所長。平成三年『書の終焉 近代
書史論』で
サントリー学芸賞、十四年『日本書史』で
毎日出版文化賞、二十一年『近代書史』で
大佛次郎賞
を受賞。作品集に、『盃千文字』『
歎異抄―その二十
の形象喩』、主著に『中国書史』『
二重言語国家・日
本』『一日一書』『日本語の手さわり』など。
縦に書け!―横書きが日本人を壊している [単行本]
<目次>
第1章:言葉が力を失った社会
・
酒鬼薔薇少年から
長崎県佐世保小六殺人まで
・神と悪魔の間で分裂している人間の精神
・価値の
不定、浮動化
ほか
第2章:「日本」とは「日本語」のことである
・日本語は世界でも特異な言語である
・漢語(漢字)と和語(仮名)の
二重言語国家
・日本語は中国の植民地語
ほか
第3章:「縦書き」こそが精神を救う
・縦書きをなくそうとした占領軍
・丸文字とシャープ文字
・混乱を極める封筒の表書き
ほか
以上
吉本 隆明(
1924年11月25日 - )は、思想家、(詩人、文芸批評家)、東京
工業大学世界文明センター特任教授(講義はビデオ出演のみ)。日本の言論
界を長年リードし、「戦後最大の思想家」と呼ばれている。血液型はA型。
「隆明」を音読みして「りゅうめい」と読まれることも多い(
有職読み)。漫
画家のハルノ宵子は長女。 作家の
よしもとばななは次女。
吉本隆明 - Wikipedia
日本政府が認定した拉致事案は12件、
拉致被害者は17人。
北朝鮮政府側は、
このうち13人(男性6人、女性7人)について拉致を公式に認めており、5人が
日本に帰国しているが、残り12人については「8人死亡、4人は入境せず」と
明らかにした。[3]しかし、日本政府は「全員が生存しているとの前提で対処
する」と言い続け、日朝
ピョンヤン宣言にうたわれた国交正常化と歴史の清
算を拒否している。
北朝鮮による日本人拉致問題 - Wikipedia
Kitano par Kitano 北野武による「たけし」 [単行本(ソフトカバー)]
ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること [単行本]
誰も文字など書いてはいない [単行本]
夕暮れの路地を吹き来る風暑し思えば一日名を呼ばれざる
梅澤由美子(62歳)東京都
平成万葉集
★米国ゴルフコース見参コロラド州 Denver Area★
Gleneagle Golf Club
345 Mission Hill Way
Colorado Springs, CO 80921
(719)488-0900
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