日本が変えた二つの仏文化、一つは料理

世界17カ国の最新リポート“フランス”

今井佐緒里編「ニッポンの評判」(27)

“もうひとつの「美しき文明―日本に抱く夢”(2)

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日本が変えた二つの仏文化、一つは料理

今井佐緒里編「ニッポンの評判」(27)
“フランス”リポーター:今井佐緒里
神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務後、渡仏。 ニース大学法政治学科に在籍しながら執筆活動をしている。 “もうひとつの「美しき文明―日本に抱く夢”(2)
フランス人の「ゼン」は融通無碍
確かに最初、「ゼン」は日本文化を紹介 するキーワードとして、正しく使われて いたようだ。 例えば高く評価される日本庭園。フラン ス式庭園が「自然の征服」なら、日本式 庭園は「自然の精神を体現するもの」で ある。 庭だけではなく、日本のファッション、 建築、オブジェは、装飾をそぎおとした 本質を表現したシンプルさの極み=「ミ ニマリズム」であると言われる(わび、 さびもこの中に入る)。 これが禅の思想というわけだ。人工的に 飾り立てることが美しさであるフランス 人にとって、これは大変ショッキングな 異質の「純粋なる美」であり、だからこ そ憧れをもって受け入れられたのだろう。
ランコムの疲れをとる「ゼン・クリーム」
ところが、大きなブームのなかで「ゼン」 という言葉は一人歩きし始めた。 「ゼン」と書かれた店があるから何かと 思ったら、リラックスするためのグッズ を売っている店だった。 「ゼンでいられます!」という座禅ポー ズの女性のポスターが街中に、どかんと あると思ったら、設定を全部やってあげ るからイライラしませんというインター ネット会社の広告だった。 テレビからいきなり、「あなたはゼーン」 という女性のささやきが聞こえたと思っ たら、快適な座席と静けさを実現した新 車のCMで、とってつけたような竹林を 背景に、尺八のBGMが流れていた。 化粧品会社のランコムは疲れをとるとい うふれこみの「ゼン・クリーム」を発売、 フランス国鉄に至っては、新幹線TGV の一部に「iDゼン」なる静けさ重視の 車輛をもうけた。 もはや「ゼン」とは、「余計なストレス のないこと」「自然で癒されるもの」に なった。 現代社会のストレスから解放されるもの に、東洋人のイメージが必要であるかの ようだ。この言葉はあまりにも市民権を 得すぎて、元は日本語であることを知ら ないほうが多いに違いない。 フランスの主張社会に疲れたときに「私 はゼンですから」と言って黙ってみたら どうだろう、という衝動に駈られるこの ごろである。
日本が変えた二つの仏文化、一つは料理
ただの異国趣味に終わらせず、日本文化 を吸収・昇華して「フランス文明」の一 部としてしまうフランスの底力。 現代ではふたつのジャンルでこの傾向が 顕著だと思う。 ひとつには、料理である。1964年に パリでたった1軒だった寿司バ―は、い ま400軒以上。 ミシュランと並ぶホテル・レストランガ イドの『ゴーミョー』に参加している、 料理評論家のアントニー・ローリーによ れば、フランス料理に日本料理が与えた 大きな影響とは、 「生を食べるという概念をもたらしたこ  と。それまではタルタルステーキしか  なかった」 「自然へも回帰をもたらしたこと。濃い  ソースの代わりに、香り高いハーブや  新鮮な旬の食材を使うようになった」 「ダイエットブームにのって、脂肪分の 少ない食と大豆製品をもたらした」 「ディスプレイ全体。盛りつけの仕方や、  テーブルに出す道具などが変化した」 ということだ。そして、「フランスのシ ェフは、今では日本に行くことが必須に なっている」述べている。
「ヌーヴェル・キュージーーヌ」への触媒効果
和食の流行は19世紀にすでに一部で見 られたが、再登場したのは60年代以降。 70年代以降に生まれた「ヌーヴェル・ キュージーーヌ」(新しき料理・現代創 作料理)の誕生そのものが、和食の存在 ぬきには語れないだろう。 その世界的名声ゆえに他国への伝播力を もつフランス料理がこのように変化した ことの意味はたいへん大きい。 さて、雨後のタケノコ状態の「和食レス トラン」だが、「日本とついていれば何 でも売れる」といわんばかりに、食事の 内容といい衛生面といい、あまりにもひ どい偽物がはこびてっている。 アジア系移民がオーナーだったり、彼ら を給仕に雇ったりなどして体裁をそれら しく作っていることが多いが、まずは、 ドアを開けたら、どーんと大きな鳥居が ある、巨大な金色の仏像の首が鎮座して いるというのから、やめてもらいたい。 「これは困る」ということで、日本貿易 振興会(JETRO)が主体となって、 「日本食レストラン価値向上委員会」が 発足した。 これは、覆面審査員が調査を行って、衛 生や食材、店舗、スタッフなど、19項 目にわたって厳しいチェックがなされ、 合格したレストランには専用ステッカー が入り口に貼られるというものだ。 パリのインチキくさい和食店で、汁だけ のカレーに一皿1600円も払って、慣 れない箸を一生懸命使いながら食べてい たフランス人親子4の好意を思えば、こ れくらいはするべきだろう。    * * * 昨今は、パリに限らず、世界のいたると ころで、日本食レストランが開業してい ます。確かにインチキくさい和食店をよ く見かけます。 真に日本人が経営しているかどうか、見 極めるのは、一見、困難です。しかし、 私は玄関の看板の文字(漢字)の書体に 注目します。 日本人がかかわっていない店舗の看板の 文字(漢字)は、日本人には馴染めない 雰囲気を漂わせています。この判断で、 今まで、外れたことはありません。ご参 考までに。(続く)(N213-32)  (N214-33休み)

日本が変えた二つの仏文化、一つは料理

化粧品: イドラ‘ゼン’クリームJ
「禅」から「ZEN」へとフランス語化し化粧品名にまでに http://www.kousuiyasan.jp/store/catalog/2_5_17/997644-6809001
美食の歴史 (「知の再発見」双書) (単行本)
料理評論家のアントニー・ローリー氏の著作
美食の歴史 (「知の再発見」双書)

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世界の食事風景 フランス パリのお好み焼き(Crepe Japonaise)日本食 :
ニッポンの評判―世界17カ国最新レポート (新潮新書)
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(目次) 第1章 「クール・ジャパン」へのまなざし ・第一線に就く知日派「ツナミ」世代―オーストラリア ・日本人よりも「日本通」な人々―ロサンゼルス ・サンバと盆踊りの幸福なフュージョン  ほか 第2章 「親日感」のさまざまな形 ・世界で一番の片思い―トルコ ・「日本人のふりをする中国人」が出没!―トンガ ほか 第3章 誤解と幻想を超えて ・ノキア社員が目撃した「傲慢な日本人」―フィンランド ・日本とイランを行きつ戻りつ―イラン ・それでも音楽の都を目指す日本人残酷物語―ウィーン ほか
終章 もうひとつの「美しき文明」 日本に抱く夢―フランス
以上

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同じこと繰り返し為す毎日を貴しとする農民我は  横井さかゑ(81歳)愛知県 平成万葉集

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◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

ムスタング(mustang n.)
西部の平原地方に見られる御しがたい馬(スペイン人がアメリカ 西部の平原地方にもたらした馬の子孫で、小形だが逞しい馬のこと)。 イギリスの社交界では、イギリス貴族に嫁したアメリカ人の妻。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)