"犯罪の濁流"を押しとどめよ

負けるな、前原誠司（２）『新潮45 2009年 12月号』より

＜UZO's fotolife 写真記＞

    
予算消化のためのダム建設、河口堰整備
    本日も『新潮45 2009年 12月号』掲載の
≪［特集］〈炎上、霞が関開城〉負ける
な、前原誠司！貧官汚吏と族議員が肥え
太った"犯罪の濁流"を押しとどめよ　ラ
イター山村杳樹≫の記事を読み続けます。

昨年2008年11月８日、京都大学百周年記
念ホールで開催された、河川整備の在り
方を考える「川の全国シンポジウム淀川
からの発言」での前原誠司氏の講演内容
を詳しくみてみます。

ちなみに、前原誠司氏が国土交通省大臣
に就任したのは、本年９月28日で、この
講演の時点ではまだ在野の人でした。そ
の点を留意してお読みください。　

「バブル崩壊後の小渕内閣、あるいは森
内閣の時も、とにかく景気の下支えとし
て、借金をしてでも公共事業をやる、と
いう形で物事が推移してきた。

当時、公共事業は中期計画というものが
15本あり、うち最大の予算を使っていた
のが道路、次に河川、あとは港湾、住宅、
空港整備といったものが続く。

しかも、五ヵ年計画で、国の財政状況が
どうであれ、とにかく予算がつけばそれ
を使い切るんだ、という考えが貫かれて
いた。

つまり、医療や年金、教育などの財源が
ない、あるいは地方が疲弊しきっている
としても、予算消化のためのダム建設や
河口堰整備がどんどん進められきた。

全国で１５０のダムが建設されていて、
しかも着工から30年以上たっても未だ完
成していないものが多々ある。

我々は公共事業がすべて過大であると考
え、15本の計画案を一つにまとめ、どの
ような財務状況、あるいは社会環境にあ
っても予算を使い切るというインセンテ
ィブをなくそうと考え、法案をつくった。
また、公共事業を縮小していく法案をつ
くった」



    
現場視察から得た経験に基づく見解
    続いて、前原誠司氏が自ら全国各地のダ
ム工事現場、河口堰、干拓事業の現場を
視察して得た経験を披露する。

「熊本県の川辺川については、１９７６
年に計画され当時の総工費見積もりは、
３５０億円だった。

いま32年を経ているが、未だ本体工事に
は１円も金が入っていない。いままでに
投じられた金は2000億円に以上に膨れあ
がっている。

しかも、このダムには計画当初は、農業
利水、水力発電、洪水対策の三つの目的
があったが、農業利水に関しては地元の
受益者を国が騙して署名を集め、裁判で
国が敗訴し撤退、水力発電については電
源開発（Ｊパワー）が手をひいた。

このように計画当初の目的が大きく揺ら
いでいるダムが沢山ある」

そして、この経験から、

「いま行われているダム建設はすべて一
旦凍結し、２年間でその必要性について
見直す」ことが必要だと強調する。

この政策を実施していく上の注意点は、

「ひとつは『かぎ括弧付きの専門家』に
任せないこと。つまり国土交通省河川局
の、いわゆる自称専門家といわれるひと
の考え方だけで事業はさせないこと。も
うひとつは、政策の透明性を高め、住民
参加、自治体参加をしかっり担保した上
で河川整備を行っていくこと」

昨年2008年11月８日の時点で、前原誠司
氏は「公権力の暴走」「国交省の暴走」
に警告を発しています。

「八ッ場にしても、川辺川にしてもこれ
からどうなるか分からない。他のダム建
設にしても、行政の誤謬性をかさに着て、
強硬突破をしてくるかも知れえない」

運命は時には洒落たことをしてくれます。

”虎穴に入らずんば虎子を得ず”

これは見ものです。前原大臣に大声援を
おくります。（続く）
(N107-6)



　　

Ref.
国が川を壊す理由(わけ)―誰のための川辺川ダムか  
国が川を壊す理由(わけ)―誰のための川辺川ダムか
 


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Ref.
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