NHK日めくり万葉集の分かりよさ

むかし、中学生のころ、万葉集に取り組んだが、

ぜんぜん理解できなかった。

ところが、今年1月から始まった

NHK「日めくり万葉集」は、私に目を開かせてくれた。

日本人に生まれて万葉集を知らずして、

死んでいくのは、もったないと思う.



第152回8月4日に放送された、選者の国文学者中西進氏の

進講は傑作でした。


上野(かみつけの)

阿蘇(あそ)のま麻群(そむら)

かき抱(むだ)き

寝(ぬ)れど飽(あ)かぬを

あどか我(あ)がせむ

巻十四・三四〇四 東歌・上野国


万葉集にはたくさんの恋歌がありますが、

果せるかな、口を揃えて「あの人と一緒にいたい」

「あの人と寝床を共にしたい」とばかり詠う。

大半の歌はそれが最終目的なんです。

ところがこの歌は、その次を聞いている。

もう、共寝は成就した。それで、満足するのが普通なのに、

この作者だけが、さてどうしたらいいんだろうと詠う。

そこにこの歌の凄さがある。万葉集四千五百十六首中、共寝の次に

遇いの成就を求めたのはこれだけです。≫


そのむかし、万葉集が理解できなかった自分を許すことにしよう。(N2)