国民に嘘をつく国家は滅びる

文藝春秋』2010年 新年特別号より

<yuka's fotolife 7のチカラ>

佐藤優『岡田外相「密約開示」が暴く外務省の恥部』(4)

鳩山総理の迷走外交が怪我の功名に
岡田克也外相のもと、対外政策が今のよ うに迷走を続けることは、日本の国益に 反するのではないかという懸念に対して、 佐藤優さんは、違った見方をしています。 たとえば、普天間飛行場移設問題の例で は岡田外相が嘉手納だといい、北沢俊美 防衛大臣は日米合意尊重の方向を打ち出 しています。 かたや、防衛通の前原誠司国土交通大臣 は、国外、県外移転を唱え、鳩山由紀夫 総理は、「私を信じてくれ」とはっきり せず、そして、小沢一郎幹事長は沈黙を 守ったままです。 つまり、皆がバラバラであるため、結果 的に、諸外国は日本の真意を探りかねて いる、という状況が生まれています。 そこで、とりあえずは、鳩山由紀夫総理 を交渉相手とするほかなく、やはり、結 果として、皮肉なことに鳩山総理の外交 的プレゼンスは上昇しています。 逆説的に響くようですが、これが海外の 外交関係者から見た、現在の日本外交の 姿なのです。
ゲーツ国防長官さえもお手上げの状態
その証拠に、CIA叩き上げで初めて長 官になったゲーツ国防長官のようなコワ モテが、公式儀礼もすべて拒否して、民 主党政権を一喝し、沖縄基地問題にケリ をつけようとやって来たにもかかわらず、 最終的には鳩山総理の「私を信頼してほ しい」が結論となった形になっています。 鳩山総理がどこまで意識しているかは分 かりませんが、これは相当な外交的成果 といってよいでしょう。 いずれにせよ、いまや、日米同盟を本当 に強化するためには、沖縄基地問題にせ よ、日米安保条約そのものにせよ、やは り、全体的な見直しが不可避な時期に来 ていると、佐藤優さんは考えています。 それには、「密約」問題はその恰好の突 破口となるでしょう。「密約」問題とい えば、佐藤優さんは、沖縄返還時費用四 百万ドルの「肩代わり」密約について証 言した吉野文六氏から聞いた、ある歴史 の一齣を思い出します。 
1945年ベルリンの春、吉野氏の原風景
一九四五年の春、ベルリンの大使館に赴 任していた吉野文六氏は、ソ連軍の攻撃 が日に日に激しくなるなか、大使館の庭 に掘られた地下壕の中で勤務を続けてい ました。 そんなか、一早く南部の温泉地に避難し ていた大島浩駐独大使から、ベルリンに 残された吉野氏に届いた命令は、「酒と 肴を持って来い」というものでした。 戦闘機からの機銃掃射や爆撃をかい潜り つつ、吉野氏は、この馬鹿げた“特殊任 務”を二度までもこなしました。 ちなみに、大島浩駐独大使は、ナチス・ ドイツに心酔し、三国同盟を推し進めた 張本人として知られています。 この吉野文六氏が、佐藤優さんにこう述 懐したのです。 「私も、自分自身で、なぜ密約について 真実を語る気持ちになったのか考えてい たのです。 最初、理屈ではよく説明できなかったの ですが、国民を信頼せず、嘘をつく国家 は滅びるという信念が私の中にはあるん です。その原風景が一九四五年のベルリ ンなんです…」 ‐―‐ 私のとって永遠の謎が、ここにも出てき ました。人間的に問題のある人が、どう して人の上に立つ地位に就くのか。 大島浩駐独大使の避難した南部というの は、おそらく、バーデンバーデンだと推 察しますが、もし、そうなら、ベルリン から相当離れています。戦火を潜って二 度までも往復したとは、悲しい話です。 (続く) (N133-9)

国民に嘘をつく国家は滅びる……

反省 私たちはなぜ失敗したのか?
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正義の正体
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文藝春秋 2010年 新年特別号
文藝春秋 2010年 01月号 [雑誌]

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荒木啓子(60歳)神奈川県 平成万葉集
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Calatrava, Castile-La Mancha, Spain. Calatrava la Vieja - Wikipedia Ref. 三角帽子―他二篇 (岩波文庫) (文庫)
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◇気になるサイト◇
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◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆
政治(politics n.):
主義主張の争いという美名のかげに正体を隠している利害関係者
の衝突。私の利益のために国事を運営すること。
新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)